「今でも胸がいっぱいになる」近所にあった喫茶店の思い出の味。亡くなったマスターが作ってくれたカスタードプリン【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/21

 ねこと人間の絆を表現したねこ漫画にはほっこりさせられるもの。中でも、ねこが持つ温かみを柔らかなイラストで巧みに表現し、読者の心を癒やしているのが、漫画家・ねこまき(ミューズワーク)さん。今年10周年を迎えた代表作『ねことじいちゃん』(KADOKAWA)には、妻に先立たれた大吉じいさんと愛猫のタマの穏やかな暮らしが描かれており、目尻が下がります。

 そんなねこまきさんが手掛けたのが、「ねこ×グルメ」をテーマにしたねこ漫画『深夜3時のくろねこ喫茶』(スターツ出版)。ねこまきさんの新境地とも言える本作の舞台は、ねこが集い、悩める人間が迷い込むこともある“真夜中限定のくろねこ喫茶”。

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 かわいらしいねこの姿に癒やされながら、日常の中で感じるモヤモヤを軽くしてくれる本作はどんな経緯で誕生し、ねこまきさんはどんな想いを込めたのでしょうか。

――本作には“食べることの大切さ”に関するメッセージも込められているように感じました。

ねこまきさん(以下、ねこまき):料理は、どんな時も人を幸せにしてくれます。元気がない時でも、おいしいものを一口食べるだけで、少しだけ前向きな気持ちになれる。私も食べている時が一番幸せです!

――登場する料理のレシピは全て、ご自身で作ったことがあるおすすめのレシピなのでしょうか。

ねこまき:レシピのほとんどが、姑さんとご近所にあった喫茶店のマスターから教えてもらったものです。おふたりともすでに他界されてしまい、残されたのは料理の記憶とコーヒーカップだけでした。「レシピを描く」というより、おふたりが食べさせてくれた“記憶の味”として描いている感覚があります。

――そんな大切なレシピの中でも、特におすすめのレシピを教えてください。

ねこまき:私が好きなのは、喫茶店のマスターが教えてくれたカスタードプリンです。私なりに頑張って一番、時間をかけて描き上げたお気に入りの回でもあります。

 マスターは亡くなる日にも、本作のために「次はどんなものを作ろうか」と考えてくださっていたそうで…。娘さんから聞いた、その話を思い出すたび、今でも胸がいっぱいになります。掲載レシピに分量は書いていないので、そのあたりはお好みで作っていただけたらうれしいです。

取材・文=古川諭香

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