「のんびりしようよ」「自分を甘やかしちゃいなよ」と優しくささやくねこたち。ねこ漫画を通して伝えたいメッセージ【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/23

 ねこと人間の絆を表現したねこ漫画にはほっこりさせられるもの。中でも、ねこが持つ温かみを柔らかなイラストで巧みに表現し、読者の心を癒やしているのが、漫画家・ねこまき(ミューズワーク)さん。今年10周年を迎えた代表作『ねことじいちゃん』(KADOKAWA)には、妻に先立たれた大吉じいさんと愛猫のタマの穏やかな暮らしが描かれており、目尻が下がります。

 そんなねこまきさんが手掛けたのが、「ねこ×グルメ」をテーマにしたねこ漫画『深夜3時のくろねこ喫茶』(スターツ出版)。ねこまきさんの新境地とも言える本作の舞台は、ねこが集い、悩める人間が迷い込むこともある“真夜中限定のくろねこ喫茶”。

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 かわいらしいねこの姿に癒やされながら、日常の中で感じるモヤモヤを軽くしてくれる本作はどんな経緯で誕生し、ねこまきさんはどんな想いを込めたのでしょうか。

――本作のようにねこと同じ言葉を話せなかったとしても、ねこから教わることってすごく多いですよね。

ねこまきさん(以下、ねこまき):そうですね。私はねこに愛情を注ぐことで、自分の心が満たされることを教えてもらいました。そして、どんなに大切に思っても、いつかはお別れがくるということも。

 お別れの悲しさを通して「生きていることの尊さ」や、大事な相手と過ごす時間の大切さを知りました。

――そういうねこ愛も今後、作品に反映されそうで楽しみなのですが、ご自身としてはどんなところが本作の見どころだと思われていますか。

ねこまき:“ねこたちの寄り添う姿”です。作中に登場するねこのくろ、くまごろう、そらの3匹はそれぞれ性格も違うけれど、どの子も人を責めないで、ただ受け止めてくれます。うちのねこたちも、いつもどんな時も私をそのまま受け止めてくれています…多分(笑)。

――ねこたちのゆるいアドバイスを通して、自分の悩みを違った角度から見られるのも本作の良さですよね。

ねこまき:人は悩んでいる時ほど視野が狭くなり、自分を責めたり、出口が見えなくなったりしてしまいます。でも、ねこたちは言うんです。「のんびりしようよ」「自分を甘やかしちゃいなよ」って。ちょっと悪魔のささやきのようですが(笑)。

 時にはねこのように一日寝てもいいし、誰かに甘えてもいいと私は思います。悩みを違う角度から見るというのは、“頑張っている自分に優しくなること”なのかもしれません。

――最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。

ねこまき:今夜も深夜3時にお待ちしています。「猫しかいないが、ゆっくりしていけ」

取材・文=古川諭香

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