格式高いお嬢様学校の女子生徒が全員腐女子! 表向きは品行方正な彼女たちが繰り広げるオタク妄想に、笑いと共感が止まらない!【書評】

マンガ

公開日:2025/11/20

お嬢様女子校が実は腐女子だらけだった話』(あたさわ/KADOKAWA)は気品漂うお嬢様たちの裏の顔を描いたコメディ作品。上品な学園内で繰り広げられる暴走気味のオタクトークに笑いを誘われ、華やかさと混沌が渦巻く学園生活に元気をもらえる作品だ。

 創立から100年を数える名門・私立花百合女子学園。品行方正な生徒が集う伝統を重んじる学校だが、実際は腐女子の巣窟になっていた。授業中も休み時間も関係なく妄想が弾け、その彼女たちの隠された情熱は、とどまることを知らない。傍目からは品のある空間が、オタク要素で満ちていく様子がたまらなくおかしいのだ。

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 登場する生徒たちは個性豊か。男性教師の何気ない視線や会話をネタにカップリングを妄想し、授業中に推しカプの小説を文通で合作する。休み時間は性癖しりとりをして、放課後は新しい教師の出現を議題に緊急会議。国語や歴史の勉強もBLで得た知識を活用するという混沌ぶりだ。

 また、同じ腐女子でも好みはさまざまで、溺愛系や束縛系、尊敬カプなど、語られるテーマは尽きることがなく、好きなものを語る姿には格好良さすら感じてしまう。そんな彼女たちの熱狂に気づかない教師陣の姿も痛快だ。まさか自分たちが腐女子妄想の材料にされているとは知るよしもなく、何気なく発した言葉が次々とネタになる。さらに生徒だけでなく女性教師にも腐女子が潜んでいるのがまた面白い。

 お嬢様たちの「好き」が重なり合ってできる世界で、腐女子道を突き進む彼女たちの姿に思わず笑ったり、共感したり、いっそ彼女たちと心ゆくまで語り合いたいと思う人も多いはずだ。自分もこの学園に通う生徒という妄想をしながら楽しんでほしい。

文=ネゴト / fumi

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