アイドル志望の女子高生がVTuberに転身!制作を依頼した絵師が、実は身近な人で…⁉︎“推したくなる”主人公が魅力のヒューマンドラマコミック【書評】

マンガ

PR 公開日:2025/11/18

シークレットスターライブ
シークレットスターライブ(夜宵草/LINEマンガ)

 自分の夢や“好き”を貫くことと、「他人に認められること」の両立は難しい。誰かに笑われたり、否定されたりすると、“好き”でいることさえ怖くなる。そんなとき、道を照らしてくれる人が現れたとしたら。『シークレットスターライブ』(夜宵草/LINEマンガ)は、何かを諦めたことのある人、そして何かに挑戦している人に読んでほしい作品だ。

 主人公の琴夏(ことか)はアイドル志望の女子高生。オーディションを受けるも落選続きで、将来を心配した父から見合いの話を提案されてしまう。結婚を回避すべく、アイドルになるための足掛かりを探していた彼女は、VTuberに目をつける。そして見つけた絵師にモデル制作を依頼するが、「アイドル活動をナメているあなたにVTuberは無理」と一蹴されてしまい……。

ⒸYayoiso/LINE Digital Frontier

 琴夏は不思議な魅力のある人物だ。「せっかくかわいく生まれたから、アイドルになるのが天命」と豪語しながら、SNSのフォロワー数で評価されるこの時代に、「ネットに顔をさらすなんて何を考えてんの!?」と、自撮りも動画投稿もしていない。かわいさだけを武器にしている姿は、普通なら敬遠してしまうはず。しかし「仕方ないなぁ」と笑って許せてしまうのは、彼女が単なる“勘違い女子”ではないからだろう。

 じつは琴夏は、大手企業の社長令嬢。強力なアピールポイントを持っているにもかかわらず、「家の力は絶対に借りない」「何かを成し遂げたときに『どうせコネだろう』って言われたくない」と、実家のことは秘密にしている。ネット上で活動していないのも、身バレを防ぐためだ。

 こうと決めたら一直線な彼女は、絵師にモデル制作の依頼を断られても、「わたしがVTuberになるなら、この人の作ったキャラで生きたい」と、めげずに熱意を伝える。人前で活動する覚悟を問われても、「わからないから、やってみたい」「やらないうちから諦めたくない」と、どこまでもまっすぐだ。その芯の強さに、気付いたら彼女を応援したくなっていた。

ⒸYayoiso/LINE Digital Frontier

 そんな琴夏がほれ込んだ絵師の正体は、バイト仲間である織尾。教育に厳しい家庭で育ち、母に趣味を否定された彼は、隠れるように絵を描いてきた。琴夏からイラストを褒められたことで、織尾は初めて誰かから必要とされた気分になる。

 しかし、自分を否定してきた母と同じような言葉を琴夏に向けてしまい、自己嫌悪に陥る。傷ついた経験があるからこそ、慎重に、臆病になってしまう。そんな織尾の姿には、共感を覚える人も多いだろう。殻に閉じこもっていた彼の心は、琴夏と関わることで少しずつ溶けていく。本作の序盤では、二人の関係がまさに光と影、照らす者と照らされる者として描かれる。

 絵師の正体を知らない琴夏は、会って話をしたいと切り出す。織尾は自分の正体がバレないよう、友人の「すばる」に代わりを頼む。ところが、すばるは琴夏の見合い相手で……!? そして、どうやら琴夏には、アイドルを目指す真の理由があるらしい。その秘密が明かされたとき、彼女の「夢」はどんな意味を持つのか。

『シークレットスターライブ』は、毎週土曜日にLINEマンガ・ebookjapanで更新中。すばるを絵師だと思い惹かれていく琴夏と、彼女に心を動かされていく織尾。すれ違う二人の関係と秘密、そして琴夏のVTuber計画は、この先どうなっていくのか。「推し」を見守るような気持ちで、物語を追いかけたくなるはずだ。

文=倉本菜生

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