飼い主の行動パターンと、構ってもらう手段を熟知! 甘えん坊猫との相思相愛な日々に癒やしをもらえるコミックエッセイ【書評】

マンガ

公開日:2025/11/21

愛されたがりの白猫ミコさん』(久川はる/KADOKAWA)は、元野良の白猫・ミコさんとの日常を描いたコミックエッセイ。ミコさんの愛くるしい姿と、その甘えん坊ぶりを余すことなく受けとめる著者の毎日が、温かなタッチで描かれている。

 6年以上もの間、野良猫として暮らしていたミコさんは、どんなときでも構ってもらいたい甘えん坊だ。著者が仕事中でも隙あらば膝の上に乗ろうとしたり、ブラッシングをねだったり、腕枕を催促したり……。「愛されたがり」な行動のどれもがたまらなく愛らしく、ページをめくるたびに頬がゆるんでしまう。

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 ミコさんの魅力は、「どうすれば構ってもらえるか」を熟知しているところにある。飼い主の行動をとてもよく観察しており、あの手この手で構ってもらおうとする賢さと愛らしさに思わずキュンとしてしまうだろう。

 加えて、著者がミコさんの甘えん坊ぶりを心底から愛している様子も、とても印象深い。例えば、ミコさんは著者が離席すると必ず座っていた椅子を取る。それは、著者が椅子に戻るときにミコさんを抱き上げなければならず、着席時に確実に構ってもらえることを知っているからだ。それに気づいた著者は「IQが5億ある……」と驚嘆。ミコさんと著者の相思相愛な関係も見どころだ。

 そんな著者の愛情は、ミコさんを描くタッチにも鮮やかに表れている。うっとりと目を細めてリラックスする様子や、気に入らないことがあったときの怒った表情、まだ著者の家に来たばかりの頃のやや鋭い目つきなどが、とても丁寧に描かれているのだ。ページから飛び出してきそうなほど生き生きとしたミコさんの一挙手一投足に目が離せなくなる。

 癒やしと温もりにあふれた本作は、読んでいるだけで、ミコさんに頬をすり寄せられたような優しい幸福感を感じることができるだろう。忙しい日々の合間に、ぜひページを開いてほしい。

文=ネゴト/ 桜小路いをり

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