同棲を提案したら拒否された! 実家暮らしを手放したくない「子ども部屋おじさん」の彼と勃発した恋愛バトルの結果は?【書評】
公開日:2025/11/30

『子ども部屋おじさんの彼と一緒に住みたい私の100日間戦争』(かどなしまる/KADOKAWA)は、同棲を夢見るアラサー女性と、実家を出たくない「こどおじ彼氏」の現実を笑いと共感を交えて描いたコミックエッセイである。
主人公・まるは、薄給で働く会社員。YouTubeで見る幸せそうな同棲カップルに憧れを抱き、双子の妹が結婚したことをきっかけに、ついに恋人のユウキへ同棲を提案する。ところが返ってきた言葉は「無理」。理由を尋ねると、ユウキは実家大好きな子ども部屋おじさんだったのだ。
実家暮らしには多くの利点がある。家事は親任せで、食事も作ってもらえて、何より経済的にゆとりができる。仕事に追われる社会人にとって、そんな環境は心地よさしかない。ユウキはそれを手放す理由が見つからないのだ。
一方、まるは、ふたりで生きていく覚悟を形にしたいと考えている。恋人として前に進みたい彼女と、現状に満足して変化を望まない彼。ふたりの価値観のすれ違いがリアルな心理描写で描かれていく。
本作の魅力は、恋愛のドタバタにとどまらず、現代社会における恋愛観や結婚観の本質を描いている点。「家を出ることが自立とは限らない」「家にいることが甘えとも言い切れない」。登場人物たちは、「楽したい」「嫌われたくない」「捨てられたくない」といった素直な本音を抱えながら、それでもどう生きるかを選んでいく。
読み進めるうちに、同棲や結婚とは何か、そしてパートナーとどう支え合っていくのかという問いが浮かび上がってくる。快適な実家暮らしを手放すことの難しさに、共感を覚える人も多いだろう。笑えるけど、胸に刺さって少し痛む。恋愛の理想と現実が浮き彫りになる物語に共感せずにはいられない。
