クラスメイトの母親が無断投稿した動画で息子が学校に行けなくなった…SNSトラブルに巻き込まれた我が子を守るためにできることは?【書評】
公開日:2025/11/21

子どもがスマートフォンを持つことが当たり前になった現代。SNSを通じた誹謗中傷や他人とのトラブル、個人情報の流出など、インターネットの利用にはさまざまなリスクが伴うなかで、判断力が未熟な子どもが安全に使いこなすことはほぼ不可能に近い。
『うちの子を配信しないで!息子を動画で晒すママ友』(碧海自由:漫画、リアコミ:原作/KADOKAWA)は、そんな子どものSNSトラブルを母親の視点から描いた物語である。
小学4年生の息子を持つケイコは、友達の影響を受けた息子のユキトに「スマホがほしい」とねだられる。ケイコは夫に相談した末、使用時間やアプリ使用の制限などいくつかのルールを決め、スマホを持たせることにする。
ユキトはそのルールを真面目に守っており、最初のうちは特に問題も起こらず安心していたケイコ。ところが、同級生の母親・ちあきがSNSで人気を集めようと、息子の同級生を巻き込んで動画を投稿し始める。「同じクラスの素人にダンスを教えてみた」というタイトルの動画には、ユキトがうまく踊れず戸惑う様子が映っていた。コメント欄には心ない書き込みが相次ぎ、クラスでも噂が広まる。しだいにユキトは学校に行くのが怖くなり、週に2、3日しか登校できなくなってしまうのだった。
インターネットを利用する人なら誰にでも起こりうるSNSトラブルの危険性を、非常にわかりやすく描いている点が本作の見どころだ。インターネット上に投稿した画像や動画は、本人の意図しない形で保存、拡散される可能性があり、一度広まったデータを完全に消すことは難しい。個人が特定されるおそれのあるデータをSNSに投稿しないよう注意していても、一緒に写真や動画を撮った相手が軽い気持ちで投稿してしまえば、取り返しのつかない事態になることもあるのだ。インターネット社会で生きる私たち一人ひとりが持つべき危機感と責任の重さを再認識させてくれる作品だ。
