痔だと思って放置していたけれど…37歳で大腸がんステージ4と診断された日々を描く闘病コミックエッセイ【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/29

 仕事や子育て、日々の暮らしを優先して、自分の健康を後回しにしているという人は少なくないだろう。『痔だと思ったら大腸がんステージ4でした 標準治療を旅と漫画で乗り越えてなんとか経過観察になるまで』(くぐり/KADOKAWA)で描かれるのは、37歳、仕事優先で生活していたくぐりさんに訪れた試練の日々だ。

 ある日、くぐりさんはお尻から出血。1年前のいぼ痔が再発したに違いないと思い込んで放置していたら、大腸がんステージ4だと発覚した。

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 直腸を埋め尽くすほどのがんは、すでにほかの臓器にも広がっていて手術はできず、抗がん剤でしか治療ができない状態。そこからおよそ2年間、くぐりさんは治療をしながら、四国八十八ヶ所巡りをしつつ、漫画家デビューをはたす。

 無治療経過観察にいたるまでの怒涛の日々を描いた本作は、がん闘病中の人やその家族だけでなく、日々を忙しく過ごしている人たちの胸にも響く。

 自分の身体をもっと労わり、家族との時間を大切にしたい…。そんな思いを抱かせるコミックエッセイだ。漫画制作の裏話や闘病の日々を、作者・くぐりさんに伺った。

※書籍出版当時の体験、お話をもとにインタビューを行っています。治療などに関する専門情報は、各医療機関にご確認ください。

――2019年夏頃、くぐりさんはトイレ後にお尻を拭くと血がついてくることに気づいたものの、仕事が忙しく病院には行かなかったそうですね。病院へ行くきっかけになったのは、そこから半年ほど後、お母様から「病院へ行けーー!」ときつく叱られたからだそうですが、その時のお気持ちや状況を教えてください。

くぐりさん(以下、くぐり):母に通院するよう言われる3年前にも、いぼ痔で大量出血したことがありました。私としては出血には慣れていたし、「いぼ痔の再発だ」と思い込んでいたので、母の鬼気迫る剣幕に「そんなに急ぐことなの!?」と驚かされました。

 当時は、毎年の健康診断を受けていたもののとくにひっかかることはなく、さらに30代だったこともあり「大腸がん検診」の経験がありませんでした。私が住んでいる地域では、大腸がんの検便検査は40代からだったので…。

 さらに、がんの早期発見には専門的な検査を受ける必要があり、健康診断だけで発見することは難しい、ということも後になって知りました。

――病院を受診され、大腸の内視鏡検査を受けられました。その時のことを教えてください。

くぐり:痔の手術を受けた病院で診てもらったところ「痔ではない」と言われ、別の病院を紹介され、大腸内視鏡検査を受けることになりました。担当医師は、最初「多分出血は痔のせいだとは思うけどねぇ…」と言っていました。

 ですが、医師が突然無言になり、ふとモニターを見てみたら、素人でも瞬時にわかるくらい大きくてグロテスクな腫瘍が映りこんでいたので、サァッと血の気が引きました。一気に不安になりました。

――本作を読まれた方に、メッセージをお願いします。

くぐり:漫画を読んでいただき、誠にありがとうございます。読んでいただけたことがとてもうれしいです。

 主人公に共感し、自分を重ねて読みましたか? それとも、他人として一歩引いて読まれましたか? 読み方によってこの漫画の楽しみ方が違ってくるのではないかと思うんです。

 共感された方は、主人公の一喜一憂に一緒になって泣き笑いできますし、客観的な読み方であれば、私の失敗ポイントを見てそれを回避するための行動に生かしてくれれば良いなと思っています。

 そして、数百万人いるがん患者の生活のうちの一例として、少しでもお役に立てていられれば幸いです。この漫画を読まれる患者の方やそれを支えるご家族の方の治療と未来が、良い方向に進まれることをお祈りいたします。

取材・文=アサトーミナミ

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