「家族と一緒に過ごす時間をもっと作りなよ」37歳で大腸がんステージ4と診断された女性が昔の自分に伝えたいこと【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/30

 仕事や子育て、日々の暮らしを優先して、自分の健康を後回しにしているという人は少なくないだろう。『痔だと思ったら大腸がんステージ4でした 標準治療を旅と漫画で乗り越えてなんとか経過観察になるまで』(くぐり/KADOKAWA)で描かれるのは、37歳、仕事優先で生活していたくぐりさんに訪れた試練の日々だ。

 ある日、くぐりさんはお尻から出血。1年前のいぼ痔が再発したに違いないと思い込んで放置していたら、大腸がんステージ4だと発覚した。

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 直腸を埋め尽くすほどのがんは、すでにほかの臓器にも広がっていて手術はできず、抗がん剤でしか治療ができない状態。そこからおよそ2年間、くぐりさんは治療をしながら、四国八十八ヶ所巡りをしつつ、漫画家デビューをはたす。

 無治療経過観察にいたるまでの怒涛の日々を描いた本作は、がん闘病中の人やその家族だけでなく、日々を忙しく過ごしている人たちの胸にも響く。

 自分の身体をもっと労わり、家族との時間を大切にしたい…。そんな思いを抱かせるコミックエッセイだ。漫画制作の裏話や闘病の日々を、作者・くぐりさんに伺った。

※書籍出版当時の体験、お話をもとにインタビューを行っています。治療などに関する専門情報は、各医療機関にご確認ください。

――くぐりさんは37歳の時にステージ4の大腸がんと診断されました。本書ではその闘病の日々が描かれていますが、読者からはどんな反響がありましたか。

くぐりさん(以下、くぐり):読者の方からは、「主人公に共感して、自分を重ねて泣いてしまいました」という感想と、反対に客観的な立場から「自分ならこんな受診遅れはしない」という感想もありました。まったく正反対だったので興味深かったです。

――私はくぐりさんの姿に強く共感させられ、涙が止まりませんでした。くぐりさんがかなりお忙しく働きつづけ、ご自身の体調をつい後回しにされていたところが、とても他人事とは思えず…。ご病気が見つかる前は、どんな毎日を過ごしていたのでしょうか。

くぐり:病気だとわかる前は、子育てをしながら平日昼間は契約社員で秘書兼事務、夜は似顔絵師や似顔絵講師として依頼された似顔絵を描いたり、似顔絵講座の資料を制作したりしていました。

 土日はゴルフ場の受付バイトとカルチャーセンターで似顔絵の講師、そして時々依頼を受けて住宅展示場に似顔絵を描きに行ったり…時には県外で出張似顔絵の仕事もしていました。

 そうしているうちに、「死ぬ前に漫画家になりたい!」という夢を急に思い出し、毎日似顔絵業務の後に朝方まで漫画も描いたりして、睡眠時間はほとんどありませんでした。

 そのうち食事の時間もお風呂に入る時間ももったいなくなり、キャンセルすることが多くなりました。やらなければいけないことと、やりたいことを詰め込みすぎた毎日を5年間続けていました。

――ご病気が発覚する前のご自身に声をかけるとしたら、どんな言葉をかけたいですか。

くぐり:「1週間のうち最低でも1日は休んだほうがいいよ」「ご飯を食べよう」「お風呂も入ろう」「夜は寝ようね」と言いたいです。そして、「家族と一緒に過ごす時間をもっと作りなよ」とも言いたいです。子どもと過ごせる時間は短くて貴重だと思いますので……。

取材・文=アサトーミナミ

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