壮絶な副作用で身の置き場もない…37歳で大腸がんステージ4、抗がん剤治療中の女性を支えた夫の言葉【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/12/4

 仕事や子育て、日々の暮らしを優先して、自分の健康を後回しにしているという人は少なくないだろう。『痔だと思ったら大腸がんステージ4でした 標準治療を旅と漫画で乗り越えてなんとか経過観察になるまで』(くぐり/KADOKAWA)で描かれるのは、37歳、仕事優先で生活していたくぐりさんに訪れた試練の日々だ。

 ある日、くぐりさんはお尻から出血。1年前のいぼ痔が再発したに違いないと思い込んで放置していたら、大腸がんステージ4だと発覚した。

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 直腸を埋め尽くすほどのがんは、すでにほかの臓器にも広がっていて手術はできず、抗がん剤でしか治療ができない状態。そこからおよそ2年間、くぐりさんは治療をしながら、四国八十八ヶ所巡りをしつつ、漫画家デビューをはたす。

 無治療経過観察にいたるまでの怒涛の日々を描いた本作は、がん闘病中の人やその家族だけでなく、日々を忙しく過ごしている人たちの胸にも響く。

 自分の身体をもっと労わり、家族との時間を大切にしたい…。そんな思いを抱かせるコミックエッセイだ。漫画制作の裏話や闘病の日々を、作者・くぐりさんに伺った。

※書籍出版当時の体験、お話をもとにインタビューを行っています。治療などに関する専門情報は、各医療機関にご確認ください。

――37歳で大腸がんステージ4と診断されたくぐりさん。抗がん剤治療でどのような副作用が出たのでしょうか。

くぐりさん(以下、くぐり):私は幸いにも手足のしびれは出なかったのですが、それ以外の副作用は出ていました。髪の毛が抜けてしまったほか、味覚障害が思っていたよりも辛く、水もお茶も気持ち悪くて飲めなくなったので、水分を取る時は味を感じないよう息を止めて飲むようにしていました。

 あとは血小板が減りすぎて鼻血がよく出て止まらなかったこともあり、常に箱ティッシュを持ち歩いていました。

――治療中はどのように過ごされていましたか。

くぐり:抗がん剤治療を主治医の指示で入院で行っていたのですが、抗がん剤を投与している間は、ほとんどベッドから動けませんでした。スマホを触る元気もなく、ひたすら耐える時間でした。

 一方で、休薬中は自宅でのんびり過ごしました。退院後数日たって、味覚障害が落ち着いたタイミングではおいしいものもいっぱい食べられました。土日は感染症が怖かったので、家族と山や海やお寺などの人の少ない自然の中で過ごしていましたね。

――闘病は体力だけでなく、気持ちの面でも相当苦しかったことと思います。治療中、どのように気持ちを奮い立たせていましたか。

くぐり:入院する週に入るとものすごく気持ちが落ち込んでいました。その時に夫が「退院したら四国八十八ヶ所巡ろうね!旅に出ようね!」と声をかけてくれたので、「この治療を乗り越えたら旅が待っている!」と思って耐えていました。

取材・文=アサトーミナミ

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