諭しても響かない! 妻の雑な家事に内心不満な夫。『夫と会話になりません』の夫婦の姿に反響続々【著者インタビュー】
公開日:2025/12/12

専業主婦の彩子は、デザイン事務所で働く夫・裕介と、4歳の息子・大地の3人家族。仕事をこなしつつ家事と育児にも積極的な夫に不満はなく、幸せに暮らしていた。しかし彩子には最近とある悩みが。それは「夫と会話が広がらない」こと。息子が生まれたばかりの頃は夫婦でたくさん話をしていたのに、いつの間にこんな関係になってしまったの……?
夫婦の日常を妻と夫、それぞれの視点から描く『夫と会話になりません』(上野りゅうじん/祥伝社)。“完璧主義な夫と大ざっぱな妻”というふたりの行動や思考のリアルさが魅力で、つい自分を重ねながら読んでしまう。そんな本作が生まれた経緯や反響について、著者の上野りゅうじんさんにお話を伺った。
――登場人物のひとりである妻・彩子についてお伺いします。彩子は良く言えばおおらかですが、大ざっぱだったり、夫がしてくれていることに頼り切っている部分があります。彩子を描く上で参考にした人物はいますか? またご自身と似ているところはありますか?
上野りゅうじんさん(以下、上野):彩子に関しては特に参考にした人物はいません。でも私の大ざっぱなところは彩子に似ています!(笑) ここまで人任せではないと思いたいですが……。「夫(または妻)は自分を理解してくれている」と過信し甘えすぎていたことに気づかない、なんてことは実際結構あったりするんじゃないかなと思います。
――晩酌をしたあと、片付けずに寝てしまう、アイロンが雑……といった具体的なエピソードがリアルだなと感じました。どのようにして考えましたか?
上野:“気にしない妻と気になってしまう夫”という構造を考えた時、どんな状況で気になるのかな?と自分自身の日常生活を振り返ってエピソードを考えました。気になるポイントは人それぞれだし、物事への感じ方も人によるので一緒に生活する上で難しいところですよね。お互いに気にしない同士なら問題にもならないのですが。
――夫婦をテーマにした物語で「大ざっぱな妻」というのは珍しいかと思うのですが、反響はありましたか?
上野:「我が家みたい」とか「うちの嫁みたい」という声を多くいただいて、正直びっくりしました。「だらしない妻」は夫がそれを大々的に公表したりネタにしたりしないだけで、実際はそれなりにいるんじゃないかと思います。「だらしない夫」はよく妻側からエピソードを聞くけど、男性は女性よりも家庭の愚痴を誰かに伝えて共感し合う機会が少ないから「だらしない妻」のエピソードはあまり出てこないのではないかと。表にあまり出ていないだけで、妻に小さな不満を抱えている夫は少なくないのかもしれません。
取材・文=原智香
