疲れて何も考えたくない夜にぴったり。まるで世間話のように日常を綴る漫画『グレうさぎ日記チャレンジ』【漫画家インタビュー】

マンガ

公開日:2025/12/2

『グレうさぎ日記チャレンジ』は、作者自身の生活をもとに描いたエッセイ漫画。ユーモラスなキャラクターと言葉選びには、読んでいて笑顔をもらえる。

 描かれるのは、しんどいことも楽しいこともある「ふつうの暮らし」だ。ゆるい絵柄で描かれた等身大のエピソードは、疲れて何も考えたくないときに頭を空っぽにして楽しむことができる。

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 X(旧Twitter)に日々投稿しており、8万を超える「いいね」を獲得することも。

 作者・グレうさぎ(@gureusagi11)さんに、創作のきっかけやこだわりについて聞いた。

「どんなに疲労していても読める漫画」を描く

ーー『グレうさぎ日記チャレンジ』を創作したきっかけや理由をお教えください。

「グレうさぎ」というキャラクター自体は、小学生のときに自分のアバターとして作りました。当時の私にとって「可愛い生き物」といえばうさぎだったからです(今はうさぎよりハムスターの方が好きです)。

 Xで日記漫画を描き始めたきっかけは、心身の健康を崩した時期にカウンセラーの先生から「認知行動療法」を教わり、「活動記録表」を勧められたことでした。(活動記録表とは、1日の活動を1時間ごとに記録し、生活リズムと感情の関係を理解するための表です。)

 ただ、活動記録をすぐに試してみたものの、長続きせず……。文章で書く日記は、何度も三日坊主で挫折してきたことを思い出しました。

 しかし、楽しく描ける漫画なら継続できるのではないかと思い、日記漫画を描き始めました。漫画を描くのが好きだし、1時間単位ではなく一つの出来事なので続けることができました。

 結果として活動記録表とはだいぶかけ離れたものになりましたが、出来事と感情の関係を整理できるようになったと思います。

ーー描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントはどこですか?

 こだわっているのは「どんなに疲労していても読める漫画にする」という点です。内容をシンプルにし、一番重要な台詞は文字サイズを大きくするなど、試行錯誤しています。くたくたに疲れてボーッとスマホを眺めている人が、何も考えずに読める漫画を目指しています。

 また、ギャグ回では「ここで笑ってほしい!」という絵や台詞を入れるようにしています。特にグレうさぎの表情を見てもらえると嬉しいです。

ーー特に気に入っているエピソードを教えてください。

 自分の性格について考えた1コマが気に入っています。「人生に対して斜め45度」という言葉を思いついたとき、すごく気持ちよかったです(笑)

 理想の自分はポジティブな性格なのですが、そうはなれず……でも絶望しているわけでもないというのが自分らしいなと思えたので、気に入っています。

ーー共感できたり、思わず笑ってしまったりするワードセンスがとても魅力的ですが、こうした言葉はどのように考えているのでしょうか?

 友だちや家族に話しかけるように言葉を考えています。「こういうことがあってさ〜」と愚痴ったり、世間話をしたりするようなイメージです。

ーー読者からの声で印象に残っているものを教えてください。

 いただいたコメントはどれも大切にしていますが、特に印象に残っているのは「日記をいつも読んでいるから、一緒に住んでいるような感覚がある」と言われたことです。

 生活を想像できるような漫画になっていたら嬉しいなと思いました。

ーー本作を通じて描きたいこと、伝えたいことはどんなことですか。

 しんどいことも楽しいこともある、ふつうの生活を描きたいです。SNSではキラキラした生活の投稿が目立ちますが、ふつうの暮らしも愉快で良いじゃないかと伝えたいです。

ーー今後描いてみたいエピソードはありますか。

 日常の些細な不安をテーマにして描きたいと思っています。「あまり親しくない人とふたりきり」「不機嫌な上司に話しかける」など、なんとなく心がモヤモヤする小さな不安を見つけて、それを軽減する方法を考える漫画を描きたいです。

ーー今後の展望や目標をお教えください。

 テーマを一つに絞って、長めのエッセイ漫画を描きたいです。不安なときや悲しいときのお守りになるような本を作ることが目標です。

ーー作品を楽しみにしている読者の方々へメッセージをお願いします。

 作品を読んでくださる方がいることが、とてもエネルギーになっています。毎日色々と疲れることがあると思いますが、少しでも笑っていただけるような作品を届けられるように頑張ります!

取材・文=ネゴト / fumi

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