プレーリードッグはお尻の匂いを嗅ぎ合ってからけんかを始める? 累計600万部超えの図鑑から生まれた学習マンガ『ウサウサ』【書評】
公開日:2025/12/4

マンガが大好きな我が家の小1&小3男子。気づくと朝の支度の途中でも、宿題をやっていなくてもマンガを読んでいるので困っています。そんなふたりについ買ってしまうのが学習マンガ。「せめてためになるマンガを読んでほしい……」という思いでこれまでも何冊か渡したのですが、たまに親も知らない知識を披露してくることがあり、一定の効果は得られているように思います。
そんな我が家が最近ハマったのが『学習マンガ・理科 ウサウサ! 生きものレポート』(まきいわ山:著、本郷峻・今泉忠明・上田恵介・宮崎佑介・加藤英明・丸山宗利・小川晟人:監修/講談社)。相手をスキャンしてコピーすることができる能力を持つ宇宙人・ウサウサが侵略のため地球に上陸。さまざまな動物たちに出会い、振り回されながら彼らの特徴を知っていく物語です。
簡潔な文章と表情豊かなキャラクターたち
本作の魅力はまずわかりやすさ。本作の冒頭にマンガの読み方が紹介されているので、これまでマンガを読んだことがない子のマンガデビュー作にもおすすめです。

全10話で構成されているのですが、どの話も10ページ前後で読みやすい分量になっています。また学習マンガと聞くとお勉強感が強く身構えてしまうことも。しかし本書は文字量もすっきりまとめられているので読みやすさ抜群。しかも全編フルカラーでコマ割りも大きく絵柄もかわいい! 動物たちとウサウサの表情が多彩なところも子どもを引き付ける理由のようで、小1次男はいくつものコマを指差して笑いながら「ここ見て! 面白いから!」と何度も私のところに持ってきていました。そこには相手にお尻の匂いを嗅がせるプレーリードッグが描かれていました。プレーリードッグのけんかはお尻の匂いを嗅ぎ合ってから始めるのだそうです。


有名図鑑シリーズが生んだ学習マンガ 監修陣が超豪華!
わかりやすいからと言って、内容が薄いわけではもちろんありません。そもそも本書は累計600万部を超える『講談社の動く図鑑MOVE』から生まれた学習マンガ。監修を務める先生も総合地球環境学研究所准教授であり、熱帯雨林地域で野生動物の生態と保全の研究を行っている本郷峻先生や、国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学んだ今泉忠明先生など、豪華なメンバーが揃っています。
小3長男は図鑑大好き、動物の本も大好き。動物に関する知識は私以上なので「ちょっと物足りないかな?」と思いつつ渡してみたのですがすっかり集中。散々笑っていました。本人曰く知っている知識もあれば知らない知識もあり、知っているものでもウサウサが面白くてつい全部読んでいたとのこと。
各話のラストにはすべて監修の先生の解説付き。例えばプレーリードッグの回には、「オジロプレーリードッグ数頭で家族を作って、家族ごとに巣穴を持っている。お隣同士で激しいけんかが起きることもある」と記載があります。動物社会にも隣人トラブルがあるのか……とびっくりしてしまいました。

すべての漢字にふりがながありますが、まだ自分で読むには難しいというお子さんもいるかもしれません。しかし子どもは気に入った本を何度も繰り返し読むもの。今はまだ解説ページまで読めなくても、しばらく読み返すうちに気になってくるかもしれません。そう考えると長く楽しめる本であるとも言えそうです。
本書には結構“うんち”“おなら”に関する話題あり。そのあたりが大好きな我が家のふたりは大爆笑でしたが、私は「そういうのはちょっと……」と普段は諫める立場。にもかかわらずカンムリブダイの話は笑ってしまいました。


親子で楽しめること間違いなしの本書。プレゼントにも、冬休み対策にもおすすめです!
文=原智香
