福田悠太(ふぉ~ゆ~)さんが選んだ一冊とは?「一番美しいものは自分の身近にある そういう比喩的メッセージも感じます」

あの人と本の話 and more

公開日:2025/12/28

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年1月号からの転載です。

「自分の中にあったのに整理できていなかった、言葉にできていなかった感覚を、見つけるのが面白い」

 読書の楽しみをそう語る福田さん。『センス・オブ・ワンダー』は、特にその発見が多かった。

advertisement

「僕、東京の浅草生まれなんですが、夏は毎年、母の実家の勝浦に泊まりに行って。その時いつも、森の中で遊んでいたんです。虫を採って草木を見て、これ以上奥に入ったらダメだって、ちょっとゾッとしたり。この本にある、自然の美しさに対する感性を、僕も持っていた。なのに、大人になると、それを自分の価値観の順位の低い所に置いていた。それにも気付かされて、もったいないことをしていたなあと思いました」

 本書には、自然に限らない、比喩的メッセージも強く感じると言う。

「一番美しいものは自分の身近にある。そう言われているようで。誰の心にも、こんなこと人は美しいと感じないだろう、楽しんでもらえないだろうと、仕舞い込んでいる感覚ってあると思うんです。でもそれを外に出してみると、面白いと喜んでくれる人が、意外といたりする。僕の仕事はまさにそれで。自分の中に隠れていた感覚を掘り起こして、形を工夫して、皆さんに見ていただく。そうすることに、僕は自身の生まれてきた意味も感じるんです」

 福田さんは今、ふぉ~ゆ~のライブエンターテイメントショー『ENTA!8』を間近に控えている。今年8回目となる年末恒例のショーで、昨年通算公演数100回も達成した。

「おともだち(ふぉ~ゆ~のファンネーム)と僕らの忘年会みたいになっているんですよね。会場のZeppはドリンクが飲めますから、舞台上の僕らもグラスを持って一緒に乾杯したり。お客さんのノリに合わせて僕らも盛り上がるので、一公演ごとに全然違った内容になる。本当に、一期一会のショーなんです」

 ふぉ~ゆ~のライブとは、また違ったやり甲斐もある。

「音楽・演出・構成、すべて自分達で決めるライブに対して、『ENTA!』はスタッフの方と一緒に作る。プロデューサーさんのアイデアに僕らは立ち向かうので、自分達の枠を越えて挑戦できます」

 ふぉ~ゆ~は来年、結成15周年を迎える。

「15周年に向けて、『ENTA!8』でも、おともだちと新しいふぉ~ゆ~を発見していきたいですね。それこそ、皆さんに『オブ・ワンダー』を感じていただけたらと思います」

取材・文:松井美緒 写真:TOWA

ヘアメイク:国府田雅子 スタイリング:小林洋治郎 
衣装協力:ニット3万8500円(BODYSONG./TEENY RANCH☎ 03-6812-9341)、デニム7700円(Casper John/Sian PR☎03-6662-5525)(全て税込)

ふくだ・ゆうた●1986年、東京都生まれ。2011年に「ふぉ~ゆ~」を結成し、リーダーを務める。主な出演作は、舞台『The Show! 「マレーネ・ディートリヒ」~マレーネの人生を歌い踊り語る!~』『CINEMATIC STAGE「東京流れ者」』など。26年1月より、舞台『チェーホフの奏でる物語』に出演予定。

センス・オブ・ワンダー
レイチェル・カーソン:著 上遠恵子:訳 
新潮文庫 737円(税込)
『沈黙の春』を発表し、環境保護に先鞭をつけた生物学者である著者が、最後の仕事として遺した世界的ベストセラー。著者は、小さな甥のロジャーと共に、嵐の夜の海辺や雨の降る森など様々な場所を探索し、自然の中の未知なる神秘と美しさに驚嘆する感性の大切さを伝える。

ENTA!8 4U. Zepp in de SHOW
構成・演出:羽雁 彰(ENPLEX)、西谷隼人ほか 振り付け:Shin.1
出演:ふぉ~ゆ~(福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介) 
東京公演:12月12~14日、Zepp DiverCity(TOKYO) 
横浜公演:12月16・17日、KT Zepp Yokohama 
大阪公演:12月20・21日、Zepp Namba(OSAKA) 
名古屋公演:12月23・24日、Zepp Nagoya
 
 
●2018年から始まった『ENTA!』。歌、ダンス、コメディ、トークなど、ふぉ~ゆ~の魅力が詰まったライブエンターテイメントショー。39歳を迎えるふぉ~ゆ~が、“サンキューサンキューです!”の思いを込めて届ける。

あわせて読みたい