転校した先は作画違いの異世界高校!キラキラ美少女がギラギラした劇画の世界で繰り広げる異色恋物語【書評】
公開日:2025/12/25

これは全く新しい異世界ものなのか。キラキラした美少女が転生ならぬ転校した先は、ギラギラとした世界だった。『キラキラとギラギラ』(嵐田佐和子/KADOKAWA)は、漫画の新ジャンルとなるだろう異なる画風が交錯する恋愛漫画だ。
少女漫画の主人公のような美少女・姫路ルルが転校した獄門高校は、何もかもギラギラした世界であった。今までのキラキラした学校生活から一転、学校の雰囲気も生徒の顔の濃さも作画の線の太さも(!)ギラギラしていて、まるで劇画のような世界。
笑顔で転校の挨拶をするルルを見つめるのは、同じ世界線にいるとは思えない面々……。見た目だけでなく、今の時代にそぐわない「番長」がいれば、絵に描いたような不良に絡まれたり、スケバンに因縁を付けられたり。どうやら今までとは全く違う世界へ来てしまったらしい。顔も様相もギラギラした世界の中で、唯一キラキラした存在であるルルも、いずれギラギラへ染まってしまうのだろうか。
見知らぬ世界での生活に不安いっぱいのルルだが、幼なじみの極楽寺禅との10年ぶりの再会に心が弾む。しかし、あの可愛かった幼なじみの禅も、外見が劇画へと変貌を遂げていた。心優しかった禅はもういないのだろうか………と、変わり果てた外見や、ルルを忘れてしまったかのような言動に最初は不安になるが、時折見せる昔と変わらぬ内面にほっとさせられる。真っ直ぐで何事も一生懸命なルルと、努力を惜しまない寡黙で優しい禅。徐々に少しずつ距離を縮める二人。少女漫画の王道をひた走る二人の恋と、劇画ゆえの昭和感、そしてギャグ要素が混じり合い、とにかくクセになる面白さだ。
ルルを自分に近づけまいとする禅。すっかり変わり果てた姿になってしまったのには理由があるのか。キラキラとギラギラの境界線とは何なのか。気になる展開が続く本作。加速する面白さと二人の恋の行方を、ぜひ手に取って体感してほしい。
文=ネゴト / Ato Hiromi
