失恋した男子高校生が美少女アバターで大人気に!Vtuberデビューの裏側【書評】

マンガ

公開日:2025/12/22

 アニメ風のキャラクターや3Dモデルを使ってゲーム実況や歌、雑談などのコンテンツ配信を行うVtuber(ブイチューバー)。声や動きは中の人が担当し、姿だけがキャラクターとして視聴者に見えるのが特徴だ。近年は、匿名で自分を表現できる新しい形の発信手段として注目されている。

失恋したのでVtuberはじめたら年上のお姉さんにモテました』(二兎凛:原作、凛愛:漫画/秋田書店)は、そんなVtuberの世界を舞台としたラブコメディだ。

advertisement

 主人公・姫村優希は、中性的で可愛らしい容姿を持つ男子高校生。ずっと想いを寄せていた先輩に、ある日恋人ができたことを知る。ショックを受けた優希は、失恋の痛みを紛らわせるため、もともと憧れていたVtuberとして活動を始めようと決意する。貯金をはたいて機材を揃え、アバターのデザインもプロに依頼。すると届いたのは、なんと“美少女”の3Dモデルだった。戸惑いながらも配信を始めると、意外にも周囲や視聴者の反応は上々で、優希はインターネット上で一躍人気者に。

 本作の見どころは、Vtuberという新しい表現の世界が非常にわかりやすく描かれている点だ。配信を始めるために必要な機材やソフト、費用といった実務面が丁寧に描かれ、これからVtuberを目指す人にも興味深い内容になっている。

 また、中性的な容姿にコンプレックスを抱いていた主人公が、美少女アバターの姿で活動し注目されていく中でしだいに自信を取り戻していく姿も本作の魅力のひとつ。バーチャルという匿名の世界で内面と向き合い、自分らしさを再発見していく優希。彼の成長ぶりを見ていると、いたずらに他人と比較するのではなく、自分自身の強みを知り、得意分野を見つめ直すことの大切さを実感させられる。自分に自信が持てない人や、新しい一歩を踏み出す勇気を求めている人にはぴったりの作品だ。

文=ネゴト / 糸野旬

あわせて読みたい