真摯に仕事をしているのに、低身長がゆえに信じてもらえない! 見た目で判断される苦しさを描く『133cmの景色』【著者インタビュー】
公開日:2025/12/21

病気の影響で小学生の頃に身体の成長が止まってしまった吉乃華・25歳。小学生の時と同じ身長のまま大人になった華は、年齢と外見が乖離していることで「見た目がもたらす生きづらさ」に直面してゆく。華だけではなく、顔面麻痺を患っているために無愛想と思われてしまう同僚の岩見や、身長が高いことを気にする直美など、登場人物それぞれが抱える悩みを通じて、気づきと勇気をもらえる『133cmの景色』(ひるのつき子/新潮社)。著者であるひるのつき子さんに、本作を描いたきっかけや伝えたいテーマについて話を聞いた。
――華はお酒が大好きで強いですよね。しかし、低身長であるがゆえに仕事の取引相手に飲酒が可能なことを疑われてしまいます。この設定にしたのは理由がありますか?
ひるのつき子さん(以下、ひるの):もともと「彼らをどこで働かせようか?」と担当編集さんと話し合っている中で、私が最初に挙げたのが「お酒関係の仕事」だったんです。岩見の実家が酒屋なのもその名残です。また、同じような病気を持つ方が「喫煙家であることで周囲から誤解されやすい」とお話しされていたのが印象に残っていて。「お酒でも似たようなことが起こるだろうな」と思ったのもきっかけです。
――なるほど。だからこそ食品会社なんですね。営業職にした理由もありますか?
ひるの:営業職は人と接する機会も多く、第一印象で判断される機会も多いですよね。だからこそあえてこの設定にしました。
――登場人物の服装についても言及するシーンがあるなど、メッセージが込められていると思います。華の服装を描くにあたってこだわっているところはありますか?
ひるの:オフィスにいる場面が多いのでオフィスカジュアルを意識しつつ、華自身が好きそうな服を着てもらっています。彼女にも彼女なりの好みやこだわりがあってそれを大事にしているので、そういったキャラ性を服装にも反映させています。
取材・文=原智香
