「自分で自分を否定したら同じ狢」見た目で誤解されて悩んできたキャラからこそ放てるメッセージとは【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/12/23

 病気の影響で小学生の頃に身体の成長が止まってしまった吉乃華・25歳。小学生の時と同じ身長のまま大人になった華は、年齢と外見が乖離していることで「見た目がもたらす生きづらさ」に直面してゆく。華だけではなく、顔面麻痺を患っているために無愛想と思われてしまう同僚の岩見や、身長が高いことを気にする直美など、登場人物それぞれが抱える悩みを通じて、気づきと勇気をもらえる『133cmの景色』(ひるのつき子/新潮社)。著者であるひるのつき子さんに、本作を描いたきっかけや伝えたいテーマについて話を聞いた。

――岩見は会社の人から愛想がないことを指摘され「男なんだから女に好かれるようにしなさい」と言われますが、それに対して「これが俺です」ときっぱりと返します。そうした強い気持ちでいられる理由を華に問われると「他人から色眼鏡で見られたくないと思っているのに、自分で自分を否定していたら同じ穴の貉ですから」と話しました。この言葉が強く心に残ったのですが、どういった意味が込められていますか?

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ひるのつき子さん(以下、ひるの):月並みですが「自分を愛せないと他人のことも愛せない」という考えに近いです。自分自身を否定しているのに「他人は自分を否定しないでほしい」というのは少し矛盾していますよね。

――確かに。言われてみればその通りですね。

ひるの:ただ、傷ついた自尊心を回復して自信を取り戻すことは簡単なことではありませんし、「言うは易し」だとも思っています。こうもきっぱり言えるのは、色々経験してきた岩見だからこそです。

――そうですね。このセリフ、もしくは本作全体について、どんな人に届いてほしいと思いますか?

ひるの:「~すべき」「~でなければならない」といった“べき論”に疲れている人に届くといいなと思っています。あとは、私自身も自己肯定感が低くて悩むことが多いので、同じような人たちへ少しでも勇気を与えたり、寄り添えたりする作品になっていれば嬉しいです。

取材・文=原智香

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