「ギャップがあってかわいい」無意識の中に潜む偏見に気づく瞬間【著者インタビュー】
公開日:2025/12/25

病気の影響で小学生の頃に身体の成長が止まってしまった吉乃華・25歳。小学生の時と同じ身長のまま大人になった華は、年齢と外見が乖離していることで「見た目がもたらす生きづらさ」に直面してゆく。華だけではなく、顔面麻痺を患っているために無愛想と思われてしまう同僚の岩見や、身長が高いことを気にする直美など、登場人物それぞれが抱える悩みを通じて、気づきと勇気をもらえる『133cmの景色』(ひるのつき子/新潮社)。著者であるひるのつき子さんに、本作を描いたきっかけや伝えたいテーマについて話を聞いた。
――華が岩見に向かって「かわいい」「小さな犬を怖がるなんてギャップがある」と言ってしまった後にハッとするシーンも印象深いです。
ひるのつき子さん(以下、ひるの):ありがとうございます。一見偏見を持っていなそうな人でも、悪気無くそういった言葉を口にしてしまう瞬間はあるし、人によっては偏見的だと感じられてしまうような考えを持ち合わせてもいるというのを描きたくて生まれたシーンです。
――この「見た目でものを言われることを嫌っているのに、気が付けば自分も同じことをしている」というシーンは2巻以降にも登場し、かつその度にハッとさせられます。作品の中でも重要なシーンかと思うのですが、意識して描かれていますか?
ひるの:意識しています。人は一面的ではなく多面的で、矛盾も抱えています。誰もが「自分を尊重してほしい」と願いながらも、無意識のうちに他者に対して偏見を向けてしまうこともある。その前提のもとにキャラクターを作ることが多いです。
取材・文=原智香
