Xで万バズ! 大反響の異世界ファンタジー。辺境の地でセカンドライフを満喫する主人公のもとに不穏な影が…!?【書評】
PR 公開日:2025/12/19

魔王を討伐した勇者パーティー。世界を救ったとして国民から歓迎される彼らは、大きな喝采と輝かしい光を浴びる。しかし、“光のあたる”場所だけに勇者がいるとは限らない。
Xの試し読みツリー投稿が大反響を呼んだ漫画『役目を果たした日陰の勇者は、辺境で自由に生きていきます』(船野真帆:作画、丘野優:原作、布施龍太:キャラクター原案/スターツ出版)は、魔王を倒した英雄の座を譲り渡し、辺境の地で悠々自適に過ごす勇者のセカンドライフが描かれる異世界ファンタジー作品。2025年11月28日には最新2巻も発売され、ますます注目が集まっている。

本作の主人公・クレイは、とりたてて優秀なスキルを持っているわけではない。そんな彼が魔王に致命傷を与えるほどの力を得たのは、王家の血筋をひくユークが、ただの村人だったクレイをチームに引き入れたことがきっかけだった。
彼が持つスキルは物品の品定めや敵の分析ができる「鑑定」と、物真似が上達しやすい「模倣」。どちらもこの世界では珍しくない凡庸なスキルだが、組み合わせの妙によってとてつもない力を発揮する。

そして、彼が強大な力を手に入れることができたのは、仲間たちの尽力も大きい。ユークだけでなく、賢者のテリタスも聖女のフローラも、それぞれ長い研鑚の末に身につけた技術を惜しげもなくクレイに授ける。普通なら、ただの村人だった男が自らを超えていくほどの力を得ることを快く思わないだろうが、彼らはクレイのことを信頼していた。心優しき勇者パーティの存在も、従来とは異なる勇者像を形成するのに一役買っている。
結果として、強大な力を有することになったクレイだが、彼が選んだ第2の人生は「辺獄」と呼ばれる魔境の地の開拓だった。
強大な魔物が歩き回る「辺獄」の近くにあるエメル村を拠点に、家に住まわせてくれた親子に魔道具をプレゼントしたり、冒険者を目指す少年を弟子にしたり。自身がユークたちから受け取った恩を村の住人たちに返しながら、「辺獄」を切り拓く準備を着々と進めるクレイだが、順風満帆な開拓の裏では不穏な気配が漂っていた。


「辺獄」に住む他の種族の存在に気づいたクレイは、彼らの事情を把握するために接触を試みる。魔王がいなくなったからといって、種族の垣根が簡単に取り払われるわけではない。平和を手に入れた人間たちが、どのように他の種族と共存していくのかも、物語の重要なテーマになりそうだ。

一方、王都では勇者を倒した功績を受け入れたユークに近づき、その地位を蹴落とそうとする勢力が現れる。権力を握るために王座を狙う宰相・コンラッド公爵との攻防は言わずもがな、長年、旅をともにしたクレイとユークの絆も見どころのひとつだろう。
辺境の地で村の人々の手伝いをしながら自由に過ごしてきたクレイだが、果たして平穏な生活を維持することができるだろうか。引退した勇者のセカンドライフから目が離せない。
