「勉強しなさい」子育て中の親が陥りがちな“エゴ”の押し付けに、気づくことの大切さ【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/12/24

 小学生・春子に起きた人間関係のトラブルが反響を呼んだ『家族全員でいじめと戦うということ。』の続編として、もう一つの視点から描かれたコミックエッセイ『「お母さんの言うとおり」にしてきたのに 家族全員でいじめと戦うということ。 サキコの場合』(さやけん/KADOKAWA)が、2025年11月に発売された。

 前作で、春子のいじめの原因を作ったとされるサキコ。本作では、モンスターペアレントのレッテルを貼られた母に守られ、「お母さんの言うとおりにすれば大丈夫」という言葉に縛られながら生きる、サキコの物語が描かれている。「愛情」の多様な形、そして、視点が変わることで人への印象が変わることを鮮やかに描いた本作の制作背景を、さやけんさんに伺った。

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――本作には、さまざまな伏線が張られています。時系列などは、ご自身で綿密に設定していたのでしょうか?

さやけんさん(以下、さやけん):そうですね。描きたいテーマはしっかりと持っていたので、作品の流れはある程度自分で決めていたと思います。あとは、各キャラクターの事情すべてを描いていないことが、伏線になったのかな。全部描きたいけど、描いたら長編になってしまうので(笑)。削る部分は、編集さんのアイデアもいただきながら進めましたね。

――親の理想と子どもの意志とのズレについて、考えさせられるシーンがいくつかあると思います。親として「エゴ」のようなものとは、どのように折り合いをつけていけばいいと思いますか?

さやけん:「エゴがある」と気づくことが、まずは大事だとは思います。そんな風に言っている私も「勉強しなさい」って、言ってしまうんですよね! 「なんで遊んでんの?」って(笑)。

 私の子どもはスポーツの習い事をしているので、負けた時は「自主練しなさいよ」とか絶対言っちゃう。それって、子どもが練習している姿を見て安心したい、という意識がどこかにあるんです。「あなたのためだよ」とは純粋に言えない、親の都合があることを自覚することが第一歩なのかなと思いますね。

取材・文=松本紋芽

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