「後悔している時点で、きっと大丈夫」過去に人を傷つけた、見て見ぬふりをした罪悪感との向き合い方【著者インタビュー】
公開日:2025/12/26

小学生・春子に起きた人間関係のトラブルが反響を呼んだ『家族全員でいじめと戦うということ。』の続編として、もう一つの視点から描かれたコミックエッセイ『「お母さんの言うとおり」にしてきたのに 家族全員でいじめと戦うということ。 サキコの場合』(さやけん/KADOKAWA)が、2025年11月に発売された。
前作で、春子のいじめの原因を作ったとされるサキコ。本作では、モンスターペアレントのレッテルを貼られた母に守られ、「お母さんの言うとおりにすれば大丈夫」という言葉に縛られながら生きる、サキコの物語が描かれている。「愛情」の多様な形、そして、視点が変わることで人への印象が変わることを鮮やかに描いた本作の制作背景を、さやけんさんに伺った。
――作品を読んで、他人を傷つけた過去を後悔する読者もいると思います。そんな方々へメッセージをお願いします。
さやけんさん(以下、さやけん):後悔しているということは、気づいてるんですよね。その時点で、もう大丈夫だと思います。
中には「むしろ、自分は被害者だ」と思い続けている人も多いので、「やってしまったな」と後悔できている時点で、きっと大丈夫。おそらくもう、同じことはしないですよね。
――「いじめの傍観者になってしまった」「何もできなかった」と過去を振り返る人も多かったのではないかと思います。
さやけん:傍観者になってしまったと思っている時点で、だいぶつらいですよね……。もちろん、いじめられた本人の方がもっとしんどい。それに、「何もできなくてごめんね」と謝って済む話ではないかもしれない。
でも後悔しているなら、その体験を教訓にした、良い子育てができると思います。
――お子さんの話を聞く時、どんなことに気をつけたらいいと思いますか?
さやけん:何かを訴える時、子どもはきっと、自分が嫌だったことしか言わない。だから、あまり信じすぎないこと。「自分の子どもの話す内容が、すべてじゃない」と思うようにしています。
そして対話をする。でも、指示はしません。子どもの人生なので、ある程度は余白を持たせるように気をつけています。……言いたくなってしまうんですけどね(笑)。
取材・文=松本紋芽
