「自分を刺すより、相手を刺せば痛くない」他人を責める人の心理とは? 外に矛先を向けられるだけのエネルギーがあるのだと思う【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/12/27

 小学生・春子に起きた人間関係のトラブルが反響を呼んだ『家族全員でいじめと戦うということ。』の続編として、もう一つの視点から描かれたコミックエッセイ『「お母さんの言うとおり」にしてきたのに 家族全員でいじめと戦うということ。 サキコの場合』(さやけん/KADOKAWA)が、2025年11月に発売された。

 前作で、春子のいじめの原因を作ったとされるサキコ。本作では、モンスターペアレントのレッテルを貼られた母に守られ、「お母さんの言うとおりにすれば大丈夫」という言葉に縛られながら生きる、サキコの物語が描かれている。「愛情」の多様な形、そして、視点が変わることで人への印象が変わることを鮮やかに描いた本作の制作背景を、さやけんさんに伺った。

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――本作では、人を責めるシーンも印象的です。他人を責めたくなる時って、どういう心理状態だと思いますか?

さやけんさん(以下、さやけん):私自身はあまり人を責めないタイプで、自分が悪かったんかなと思ってしまうんです。他人を責める心理を私なりに想像すると、自分が不遇だと思ってしまっているから、でしょうか。人のせいにした方が楽なのかな。自分を刺すより、相手を刺せば痛くない、みたいな側面もありそうですよね。

 そこから抜け出すには、人を責めていた自分に気づくことが大事だけど……。それに気づきすぎると、またしんどいですよね。

――外に矛先を向ける人と、内側に向ける人の違いは何だと思いますか?

さやけん:他人に矛先を向けることって、私はポジティブだと思います。他人とコミュニケーションを取るだけの、心と体のエネルギーがある。それに、そういう人たちって、世の中を変える存在でもあると思うんですよね。異論を唱え、革命できる人が多いと思います。

 私みたいに内側に落ちてく人は、自分のせいにした方が楽。外に働きかけることが、大変だと思ってしまう。どちらが良いというわけでもないけれど、外への意識をポジティブなことに使えれば、その人自身がすごく伸びるのかなと思います。

取材・文=松本紋芽

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