「お父さんは私に何もしてくれなかった」子どもからの言葉。父親に愛されていたことを、子どものうちに気づきたかった【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/12/28

 小学生・春子に起きた人間関係のトラブルが反響を呼んだ『家族全員でいじめと戦うということ。』の続編として、もう一つの視点から描かれたコミックエッセイ『「お母さんの言うとおり」にしてきたのに 家族全員でいじめと戦うということ。 サキコの場合』(さやけん/KADOKAWA)が、2025年11月に発売された。

 前作で、春子のいじめの原因を作ったとされるサキコ。本作では、モンスターペアレントのレッテルを貼られた母に守られ、「お母さんの言うとおりにすれば大丈夫」という言葉に縛られながら生きる、サキコの物語が描かれている。「愛情」の多様な形、そして、視点が変わることで人への印象が変わることを鮮やかに描いた本作の制作背景を、さやけんさんに伺った。

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――子どもの人間関係に、親はどこまで関わるべきだと思いますか?

さやけんさん(以下、さやけん):自分に置き換えて考えると、自分の子どもが加害側だったら、飛び出していきます! 些細な“いざこざ”なら、一旦動かないかもしれません。

 何かをされた側なら、子どもに「どうしたかったん?」「相手はどう思ったと思う?」などと聞いてみる。話をした上で「がんばってそう伝えてみたら?」「まずは挨拶してみたら」と、子どもに判断を委ねると思います。その結果が悪かったら「また考えようね」と。

――子ども間のトラブルに、学校はどのような姿勢で対応するべきだと思いますか?

さやけん:学校でも家庭でも、子どもは大人のことをよく見ていますよね。目を見ずに対応するような大人に囲まれていたら、その影響を受けてしまう。大人たちは、周囲を非難する前に、自分を見つめ直して“気づく”ことが必要なのかなと思います。

――サキコがお父さんに、「何もしてくれなかった」と口にするシーンでは、ドキッとした方もいらっしゃるのではないかと思います。

さやけん:本作で、お父さんは少し悪者に見えたかもしれませんが、仕事をがんばっていたと思うんですよね。私の父は、愚痴をこぼすことなく働いていたんですけど、そのすごさに気づくのは大人になってから。

 お父さんにも愛されていたことを、子どものうちから気づきたかったな……という想いを込めて、サキコとお父さんとのやり取りを大切に描きました。

文=松本紋芽

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