「泣いて苦しんで 不登校になったらおもしろい」他の子どもの不幸を願う母。他人を苦しめた人への、“懲罰”が求められる現実【著者インタビュー】
公開日:2025/12/29

小学生・春子に起きた人間関係のトラブルが反響を呼んだ『家族全員でいじめと戦うということ。』の続編として、もう一つの視点から描かれたコミックエッセイ『「お母さんの言うとおり」にしてきたのに 家族全員でいじめと戦うということ。 サキコの場合』(さやけん/KADOKAWA)が、2025年11月に発売された。
前作で、春子のいじめの原因を作ったとされるサキコ。本作では、モンスターペアレントのレッテルを貼られた母に守られ、「お母さんの言うとおりにすれば大丈夫」という言葉に縛られながら生きる、サキコの物語が描かれている。「愛情」の多様な形、そして、視点が変わることで人への印象が変わることを鮮やかに描いた本作の制作背景を、さやけんさんに伺った。
――本作で、読者からの反響が大きかったシーンはありますか?
さやけんさん(以下、さやけん):サキコのお母さんが、春子に対して「不登校になったらおもしろい」という感情を抱くシーンへの批判は多かったですね。「母親がそんなんだから、子どもがいじめられるんだ」と。
あと、いじめの主犯格だったとされている、風(ふう)ちゃんと来夢(らいむ)ちゃんに対して「このふたりには、何も罰はないんですか」と気にされている方もいました。本作でも、少しはそこに触れているのですが、いつかふたりの物語も描けたらと思っています。
――読者からのコメントは、どのような気持ちで受け止めているのでしょうか?
さやけん:親である自分の行動次第では、子どもがいじめられる可能性もある、と思いながら、みなさんの素直な気持ちをまっすぐ受け止めています。
本作では、私なりの理想を描いていますが……。実際に自分の子どもが「不登校になれ」と言われたら、ドロドロした感情がどっと出てくるでしょうね。それが、人間やと思うんで。
――子どもを心配するがゆえに、深く踏み込んでしまう親御さんは少なくないと思います。そんな時、親御さんにはどんなサポートや視点が必要だと思いますか?
さやけん:自分の子ども“だけ”を大事にしないように、という視点は重要ですよね。自分の子どもを優先したら、周囲が不幸になるんじゃないか。そこを考える想像力が必要なのかな。私も子育て中なので、学びながら考える日々です。
取材・文=松本紋芽
