「悩んでいる時点で、一歩踏み出している」今、人間関係で苦しんでいる人へ【著者インタビュー】
公開日:2025/12/30

小学生・春子に起きた人間関係のトラブルが反響を呼んだ『家族全員でいじめと戦うということ。』の続編として、もう一つの視点から描かれたコミックエッセイ『「お母さんの言うとおり」にしてきたのに 家族全員でいじめと戦うということ。 サキコの場合』(さやけん/KADOKAWA)が、2025年11月に発売された。
前作で、春子のいじめの原因を作ったとされるサキコ。本作では、モンスターペアレントのレッテルを貼られた母に守られ、「お母さんの言うとおりにすれば大丈夫」という言葉に縛られながら生きる、サキコの物語が描かれている。「愛情」の多様な形、そして、視点が変わることで人への印象が変わることを鮮やかに描いた本作の制作背景を、さやけんさんに伺った。
――本作では後半に進むにつれて、人と人が向き合う大切さがしっかり描かれていると感じました。
さやけんさん(以下、さやけん):そうですね。作品のキャラクターではなくて、生身の人間っぽい現実感を大事にしているからだと思います。人と人は向き合わないと、乗り越えられないこともあるので。
――今まさに、人間関係で苦しんでいる方々へメッセージをお願いします。
さやけん:何にも偉そうなことは言えないんですけど……。悩んでいても、そこに気づけたら大丈夫だと思います。
知り合いの心理士さんも言っていました。「どうしよう?」と考えているなら、既に一歩前進できているんだよ、って。本当にそうですよね。気づいて、その問題を一歩引いて冷静に見られているんですから。
私自身すごく納得したので、悩んでいる方々にはぜひそう思っていただきたいですね。
――今後、さやけんさんが描きたいジャンルや作品のアイデアはありますか?
さやけん:底抜けに明るい、アホみたいなものを描きたいんですよ! 元々は育児漫画を描いていたんですけど、最近は、人間関係のトラブルに触れる作品が多くなっていた。ガラッと雰囲気を変えて、また何にも悩みのないものを描いてみたいです。
私には、小学生の息子と娘がいるんですけど、全然性格が違くて本当に面白いんです。これから複雑なお年頃になっていくので、少し時が経ってから、今を振り返るような作品が描けるのかな。それも楽しみですね。
取材・文=松本紋芽
