日常のモヤモヤが吹っ飛ぶ“小林一家”の爆笑コミックエッセイ。家族円満の秘訣は「相手にも心があることを忘れないこと」【イベントレポート】

マンガ

PR 公開日:2025/12/23

 とにかく明るい家族あるあるコミックエッセイ『小林一家は今日も「ま、いっか!」』(小林潤奈/主婦の友社)の発売記念トークショーが行われ、漫画家の小林潤奈さんが登壇しました。本作に描かれるのは、どんな悩みも「まあ、いっか」と吹き飛ばしたくなるような爆笑必至の家族エピソード。イベントが始まると、サプライズでお父さんによるイラスト動画と音声の案内があり、潤奈さんが鮮やかな振袖姿で登場。一家の仲睦まじさがリアルに感じられる演出に会場が沸きました。

本作品を試し読み

“ネガティブ上手”なら人間力が一段上がる

 本作は、作者の潤奈さんが家族に向けて繰り出す愛あるツッコミや呟きが魅力のひとつ。面白い漫画を描き続ける秘訣を聞かれた潤奈さんは、「前提を揃えること」と一言。「相手との情報量に差があると、大きな波が起こっても一緒に乗れない。前提を揃えておいて同じ波に乗れるように話してみると、お友だちとの時間がより楽しくなりますよ」と、来場者が自分事にできるようなアドバイスを伝えました。また、お笑い好きの潤奈さんは、ツッコミを入れる時に「まったく関係ない例え話を入れて、“なんかわかる”と共感を誘う」ことも意識しているとか。

 漫画に描かれた小林一家はとにかくポジティブ。ところが、ポジティブの秘訣を聞かれた潤奈さんは「どちらかというとネガティブ」と意外な回答。「“ネガティブ上手”なのかな」と気になるワードを発し、「闇雲に落ち込むとネットショップの関連商品みたいに関係ない落ち込みまで湧いてくる」という例え話で考えを述べ、そうならないためにも「どうして落ち込んでいるのかを冷静に分解して掘り下げると、一点集中で対策が見えてくる」と、スムーズな立ち直り方を提案。

 ちなみに、自分自身のネガティブな気持ちに向き合うと「人の悲しみにも寄り添いやすくなる」そうで、「立ち直った時、一段上にあがった景色が見えるような、もっと人に優しくなれるような力をつけるつもりで落ち込もう」と、ストイックでありつつ得るものがあるという前向きな回答で読者を勇気づけました。

いつもためらいなく背中を押してくれた両親

 イベントの後半からは、小林一家の「お姉ちゃん」こと万里菜さんがサプライズでステージへ。妹のために炊飯器をハンドバッグ代わりにして電車に乗った…というファンお馴染みの人気エピソードになぞらえ、腕に炊飯器をひっかけて現れると、盛大な拍手で迎えられました。

 終始小声で「大好き」「かわいい」とお互いに伝え合っていた仲睦まじい小林シスターズ。両親の子育て論について聞かれ、「絶対的な味方でいてくれた。たくさん迷惑をかけたけど、家族からもらった愛が今の私の人の寄り添い方に繋がっていると思う」(万里菜さん)、「何かに挑戦する時、いつもためらいなく背中を押してくれた。『親のせいで夢に挑戦できなかったという言い訳はもうできないから』と言われ、自分の言葉に責任を持つ大切さも教えてくれた」(潤奈さん)とそれぞれが話す場面もありました。

親しき間柄にも「心」があることを忘れないで

 最後に語られたのは、姉妹が仲良しでいる秘訣。潤奈さんは「いつもキラキラ輝きながら私を支えてくれるお姉ちゃんが素敵だなと思う反面、自分は影なんじゃないかと落ち込むことも…。でも今は影ではなく、太陽のような光を受けて、別の輝きを放つ月のような存在だと思っています。お姉ちゃんがつらい時は一番に駆けつけたい。人間関係においても、お互いの光を認め合うことが大切」と自身のコンプレックスを打ち明けながら、リスペクトし合うことの大事さについて言及しました。

 そんな潤奈さんの言葉に「ステキ。潤奈ありがとう」と包み込むような笑顔で穏やかに語りかけた万里菜さん。そして、「昔、じゃれあって潤奈の髪をひっぱった時、それだけはダメと母に言われ、親が悲しむことをしないという学びを得ました。それ以来ひっぱっていません。笑」とユーモアを交えて話した後、「小さな積み重ねが思いやりに変わり、仲良しの秘訣になっているのかも」と、姉妹が仲良くいる秘訣についても語りました。

 仲良し姉妹に共通するのは「血が繋がっていても、相手に心があることを忘れない」というお互いのリスペクトや思いやりだといいます。

読者の存在自体が「プレゼント」

 イベントを通して感極まった万里菜さんは「妹が夢を叶えた瞬間に姉として立ち会えて幸せ」と涙。それにつられて涙を流す来場者の姿を目の当たりにした潤奈さんは、「本の発売まで緊張が抜けない日々でしたが、皆さんの可愛い笑顔ときれいな涙を見て、自分は間違ってなかったと報われました。つらいことがあっても、皆様がそこにいてくれるだけでプレゼントのように感じる人がいたことをどうか忘れないで。私たち、また必ず笑顔でお会いしましょう」とコメント。率直な言葉から溢れ出す惜しみない優しさに、場内には感動の波が広がりました。

 姉妹が披露宴のように腕を組んで退場…というエンディングは、本作らしい笑いに満ちた幕引き。人に寄り添う秘訣について学びながら、お互いを思い合う家族の輝きは周りをも明るく照らすことを実感するイベントとなりました。

文=吉田あき

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