「100%当たる占い師」と噂された中学時代の黒歴史。“事故”プロデュースしがちな漫画家の高校デビュー自伝エッセイ【書評】

マンガ

公開日:2026/1/8

 自分の個性や強みを戦略的にアピールし、好ましい印象を与える自己プロデュース。高校デビューや大学デビュー、社会人生活、恋愛や転職の場面で、試みたことがある人も多いのではないだろうか。しかし、自己プロデュースは100%うまくいくとは限らない。それでも、その失敗さえも楽しめたら、人生はもっと豊かになるはずだ。

脱・陰キャで事故プロデュース』(島袋全優/竹書房)は沖縄出身で、白塗りメイクで知られる漫画家の島袋全優さんの自伝エッセイだ。『腸よ鼻よ』『腸はなくとも食欲はある!』で国指定の難病と向き合いながらも日々を楽しく過ごす様子を描いた全優さんが、今回、中学時代の黒歴史をテーマに描いた。

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 スクールカースト下層で、なぜか“手相が見られる霊能者で、占いは100%当たる”と噂が勝手に広がってしまい隠れるように過ごした中学時代。ある事件をきっかけに高校デビューを決意し、陰キャからの卒業を決意するのだった。

 占いが当たると追い回される日々も、高校デビュー後のキャラ変に対して同級生から陰口を言われたときも。辛い状況でも全優さんは、少し“斜め上”からの発想で、「こうなったら楽しんでやる!」と逆境に立ち向かっていく。

 失敗して予想外の方向に転んでも、それを楽しみながら歩き続ければ、思わぬ形で道は開ける。そんな高校時代の日々がやがて、闘病中も漫画を描き続け、辛ささえ笑いに変える“白塗りメイク漫画家”・島袋全優さんの魅力へとつながっていくのだ。

 夢を追い続けることに疲れたときや、次の一歩がなかなか踏み出せないときにこそ、手に取ってほしい。読後には、目の前の壁を越えるための思いがけないアイデアと出会えるかもしれない。失敗を恐れず、逆境をユーモアで挑む全優さんの生き方に、きっと勇気をもらえるはずだ。そしてきっと全優さんの作品をもっと読みたくなるだろう。

文=ネゴト / くるみ

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