【ネタバレあり】Netflix『ラヴ上等』の規格外な面白さ! 開始5分で喧嘩勃発、ヤンキー×恋リアの意外すぎる化学反応

公開日:2025/12/20

 Netflixで新たに放送が始まった『ラヴ上等』は、元暴走族総長、元ヤクザ、少年院出身など、社会の“はみ出しもの”として生きてきたヤンキー男女11人による恋愛リアリティシリーズだ。集められた参加者11人は山奥にある学校「羅武上等学園」に集められ、14日間の共同生活を送り、最終日に好きな相手に告白をする。

『ラヴ上等』

 教室には「暴力禁止」や「器物破損禁止」「カツアゲ禁止」など、恋愛リアリティショーらしからぬ注意書きがあり、常に喧嘩仲裁のためのセキュリティがスタンバっているという異色ぶり。参加者一覧のビジュアルのインパクトも強く、目を奪われた。

この、あまりにも既存の恋愛リアリティショーとはかけ離れたような第一印象から一転、実際に視聴してみると思っていたよりもずっと「王道の恋愛リアリティショー」的な部分もあり、参加者のガチ具合も含めてとんでもなく面白い番組だった。

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 今回は公開中の1〜4話から特にはっきりと恋の矢印が向いている「佐藤匠海 a.k.a. ミルク→ユリアa.k.a. Baby」「津田祥 a.k.a. タックル→綺麗 a.k.a. きぃーちゃん→(?)塚原舜哉 a.k.a. つーちゃん」を中心に振り返りたい。

※以下はがっつりネタバレなので、未視聴の方は要注意です!

冒頭から乱闘騒ぎ!? 「これは本当に恋愛リアリティショーで合っていますか?」

 番組冒頭、参加者登場のタイミングでひと乱闘を起こしたのが、暴走族元総長で現在はキャバクラを経営している塚原舜哉 a.k.a. つーちゃんと、川崎の暴走族元総長で現在は建築業をしている佐藤匠海 a.k.a. ミルクだ。顔を合わせてすぐに声を荒らげながら胸ぐらを掴み合う二人のところに即座に屈強なセキュリティ数人が駆け付け引き離すシーンを見て、誰しもが突っ込んだだろう、「これは本当に恋愛リアリティショーで合っていますか?」と。

しかし意外にも、この番組で恋愛の先手を切ったのがこのミルクだ。彼が想いを寄せたのは、施設育ちで、現在は塗装業をしているユリアa.k.a. Baby。極貧家庭で育ち、壮絶な過去をもつBabyは、男社会の中でもすぐにやめたくないと塗装業を続けており、そんな彼女の格好いい姿にミルクは心を打たれたという。

 気が強い女性陣の中で、Babyはどちらかというとおっとりとした、天真爛漫な雰囲気の女性。ビジュアルも愛らしく、初日の女性人気は一位だった。そんな彼女も、包容力があり自分を受け入れてくれそうなミルクを憎からず思っているようで、序盤からすでに二人はいい雰囲気に。

 しかし、そんな彼女が牙をむいたのが第4話、新たな参加者でショーダンサーのAMO a.k.a. あもとの出会いの場面だ。あもにショーで水を何度もかけられたBabyは、ブチ切れて初対面のあもに氷の入った水をかけ、あもの顔に傷をつけてしまう。

生い立ちが語られ、共感を呼ぶ。予測不能の展開へ

 これまでの温厚そうなBabyが豹変して驚いた視聴者も多かったはずだ。しかし、彼女自身の生い立ちを振り返ると、顔に何かをかけられること=嫌な記憶と直結しているものだった。「水はやべえだろ」を連呼する彼女には、それなりの理由があったのだ(もちろん、だからといって暴力はいけない)。

 ちなみに、上記の理由を知るまではBabyの言動が不可解すぎて理解できなかったのだが、このシーンが、この番組に出ている人たちには自分が経験したことも想像することもできない背景があるのだ、と痛感した瞬間でもあった。こういう部分も含めて、この恋愛リアリティショーは予測不能な面白さがある。

「過去の彼女はメンヘラしかいなかった」と言っていたミルクは、そんなBabyの姿を見ても想いは変わらなかったようで、むしろ彼女が退学になってしまうのではないか(暴力沙汰は契約違反によって番組に出演できなくなる可能性がある)と心配そうな表情を見せていた。もはやミルクの気持ちはこのまま変わらなそうだが、果たしてBabyの恋の矢印が最終的にどうなるのかは全く読めない。

先が読めない三角関係が気になりすぎる!

  この番組の中で、最も一途な男が元クラブ勤務で盆栽業をしている津田祥 a.k.a. タックルだ。

 彼は初日から武闘派のギャルであるきぃーちゃんにくぎ付けに。その彼の熱烈な視線に流石のきぃーちゃんも、というか周囲のみんなも気づいてしまうほどだ。想いを伝えたあとは、誰の前でも「きぃーちゃんきぃーちゃん」とアピールし続けるタックル。面と向かって可愛いと一途に伝え続けるタックルにきぃーちゃんも嬉しそうな顔を見せるが、きぃーちゃん自身はタックルをまだ異性としては見ることができていない。

 その本心を伝えたあとも、タックルはむしろ気持ちに火がついたようで、全く諦める様子はない。そんな中、きぃーちゃんはつーちゃんのとある過去の話を聞いて“くらって”しまい、少し心が動かされたような表情を見せる。果たしてきぃーちゃんはこのままつーちゃんに想いを寄せることになるのか、それともタックルの想いが実るのか、そもそもつーちゃんは誰かを好きになるのか……ここの妙な三角関係もかなりこの先が気になるところだ。

『ラヴ上等』は“キャラが濃すぎる”王道恋愛リアリティショー

 恋愛リアリティショー自体が好きでよく観ている身からすると、今回の『ラヴ上等』は、異色の恋愛リアリティショーと見せかけて、実はけっこう王道的な楽しみが詰まった番組だと感じた。「最終日に告白をする」というシンプルな方向性に、番組が用意したデートプランも乗馬や和食デートなど一般的なもので、関係性を深めるために全員で協力するイベントもあり、構造や演出だけ見れば、既存の恋愛リアリティショーと大して変わらない。

 それなのにここまで面白くてくぎ付けになるのは、やっぱり参加者のキャラの濃さなのだ。人間関係の化学反応がこれでもかというくらい凝縮されていて、常に予想外の展開が巻き起こる。誰もが飾らず、恐れず、むき出しでぶつかりあう(だからこそたまに出演継続が危うくなるような事態になったり、実際に退学させられてしまう人も出てきたりする)。

 そして、何より良いのは、彼らは自分たちで起こしたもめ事は自分たちで解決してしまうところにある。数分前に殴り合いをしようとしていた男たちは、次の場面では笑いながら酒を飲み交わしている。水をぶっかけた女とぶっかけられた女は翌日にはマブになっている。この、視聴者を置いてきぼりにしていく感じが逆に面白い。

 個人的にこの先気になるのは、すでに関係性が出来上がった中に参加した転入生の少年院出身のホスト、七星天星 a.k.a. てんてんと、ショーダンサーあもの二人が波乱を起こすのかどうかという点だ。まだ始まったばかりなのに、もう数ヶ月くらい見届けているかのような気分になる、あまりに濃密な恋愛リアリティショーである。

文=園田もなか

Netflixリアリティシリーズ「ラヴ上等」独占配信中

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