【やしろあずき×ひろゆき対談】社会の「ソトガワ」に生きる二人のゆるゆる人生論／やしろあずきの「社会のソトガワ」サバイバルガイド

帽子って洗うものなんですか？

ひろゆき　やしろさん、今日は珍しく帽子かぶってないんですね。

やしろあずき　はい、臭くなってきちゃったんで。

ひろゆき　いや、洗ってください（笑）。

やしろあずき　え、洗うって帽子を？ 帽子って洗うものなんですか？

ひろゆき　……えっと、帽子を「洗わないもの」カテゴリに入れてたってことですか？

やしろあずき　だって時計とかネックレスって洗わないじゃないですか。帽子も同じだと思ってて、3年くらいかぶり続けてたんですけど、さすがに臭くなってきたんで家に置いてきました。そっか、帽子って洗うものなのか！

ひろゆき　ジーパンとかなら洗わない人はいるけど、帽子は……。周りの人に「臭い」って突っ込まれなかった？

やしろあずき　言われたことはあるけど、友達同士のじゃれ合いみたいなもので、本気だと思ってなかったですね。……本気で臭いと思われてたのかな？ 試しに今LINEで聞いてみよう。実はひろゆきさんも、前回お会いしたときに「こいつ臭えな」って思ってました？

ひろゆき　いや、僕は鼻炎なんでわかんなかったです。でも、誰にも指摘されなかったってことは、やしろさんには本当の友達がいないのかもしれないですね……。

やしろあずき　そんなことないですって！ 洋服はちゃんと洗濯するし、風呂も入るんで、臭くないはずです。ただ、帽子は洗うものっていう認識が全くなかったんで、基本的に数年スパンで使い捨ててました。

ひろゆき　洗濯するものでもなくクリーニングに出すものでもなく、帽子を「洗わないもの」カテゴリに入れてしまっていた。ADHDの人って、物事の解釈とか分類の仕方が他の人と違うことがありますからね。でも、そういうのって、他の人に指摘されたりして減っていく気がするけどなぁ。指摘してくれる人がやしろさんの周りに一人もいないんじゃないかっていう疑念が僕の中で湧いてます（笑）。

やしろあずき　「臭い」って言われても、「帽子が臭くなるはずがないだろう」っていう謎の自信があったんですよ。思い込みが激しいのもADHDの特性なんですけど。

ひろゆき　帽子って一番臭くなりやすいと思います。頭皮の臭いがこもるんで。

やしろあずき　あ、今友達何人かからLINEが来ました。「ずっと臭いと思ってた」って……。

ひろゆき　人って本音と建て前を使い分けて生きてますからね。ドンマイです（笑）。

不登校だった頃は2ちゃんねるが救いだった

やしろあずき　視聴者の方からいくつか質問をいただいているので、それを紹介したいと思います。まずは、「やしろさんとひろゆきさんのお互いの第一印象は？」。

ひろゆき　やしろさんって、“普通の人”っぽく振舞う偽装能力が高い人だと思ってたんですよ。SEGAに就職したりして優秀だし、それなりに社会人として上手く生きていける人なのかなと。でも実際に会って話してみると、「やっぱ本物だな」っていう（笑）。今の帽子の話もそうなんですけど、物言いの節々からADHDらしさが散見されるので、ファッションでやってるんじゃないんだなって思いました。

やしろあずき　ひろゆきさんからガチADHDのお墨付きいただきました（笑）。でもね、運はいいんですよ。SEGAの面接のときも、社員の方がみんな僕のことを「ヤバいヤツ」っていう目で見てたのに、一人だけ「面白い」って言ってくれた人がいて。その人のおかげで入社できた部分はありますね。ちなみに、ひろゆきさんはご自身をADHDだと思いますか？

ひろゆき　多分そうだと思います。診断もらってないし、もらう予定もないけど。「こういう回答したらこういう診断出るな」っていうのが大体予想できるから、あんまり意味ない気がして。

やしろあずき　ADHD診断はテストだけじゃなく、脳波の検査もできるんで、やってみても面白いかも。僕が初めてひろゆきさんにお会いしたのは、中学生のときに参加した2ちゃんねる（現5ちゃんねる）のオフ会でした。当時からひろゆきさんは伝説の人だったんで、お会いできて感激でしたね。2ちゃんねるがあったから不登校になったし、こんな人間に育っちゃったんですけど（笑）。

ひろゆき　中学生のときは不登校児だったんですか？

やしろあずき　はい、ガチボコにいじめられてたんで。中学からネットの世界にハマって、オフ会を通じて大人とばっかり遊んでたんですよ。だからクラスメイトが子どもに見えちゃって、「くだらん」って斜に構えてた。そりゃ嫌われますよね。きっとひろゆきさんの少年時代もそんな感じですよね？

ひろゆき　いや、僕は割と楽しい学校生活を送ってましたね。

やしろあずき　ホントですか？ ちょっとショックだな……。

ひろゆき　基本的に、いじめをするにも知能が必要なんですよ。僕が育った地域はみんな頭が悪かったんで、逆にいじめが起こりにくかった。中学のときに、「どうやら『シカト』っていういじめがあるらしい」っていうんで、仲間内でターゲットを決めて休み時間にシカトしてみたんですけど、給食の時間になるとすっかり忘れて、みんなで楽しく飯食っちゃうんですよね（笑）。

やしろあずき　めちゃくちゃいい話だ。僕の地元は横浜なんですけど、当時はまだ暴走族文化があって、学校行くまでに「カツアゲロード」って呼ばれてる小道があったんですよ。そこにいつも4、5人のヤンキーがポケモンみたいにたむろしてて、お金を取られないと学校行けないみたいな感じでしたもん。

ひろゆき　お金持ってかなきゃよくない？ 僕の地元はみんな貧乏だったんで、カツアゲはほぼ見たことないですね。子どもの頃からずっと一緒で、どの家庭もお金持ってないっていうのがわかってるから、逆に治安が良かったのかもしれないです。

やしろあずき　学校ではいじめられたけど、2ちゃんねるとか学校外のコミュニティに友達がいたことは救いでした。「自分はFBIだ」って言い続けてる人もいて、今思えば変な人ばっかりでしたけど（笑）。

ひろゆき　FBIがオフ会に参加するはずない（笑）。当時は信じてたんですか？

やしろあずき　完全に信じてましたね、「FBI」って書いてある手帳も持ってたし（笑）。でもその人に憧れて英語の勉強をがんばれたんで、今思えば信じて良かったと思います。

今までもらって嬉しかったものは「トイレの消臭スプレー」

やしろあずき　次の質問。「今まで贈られたものの中で一番嬉しかったもの、驚いたものを教えてください」。

ひろゆき　ない！ 基本もらうのは嬉しいんだけど、その物に対して「超嬉しい！」っていうことがないから、「あざーす」って感じ。

やしろあずき　1億もらっても……？

ひろゆき　「あざーす」。仮に1億円くれる人がいたとしても、絶対に何か見返りを求められるじゃん。基本お金持ちの人って頭良いし、資産を利用してさらに資産を増やしているような人たちだから。気分でポーンと「1億円あげる」みたいな人は、そもそもお金持ちになれないでしょ。

やしろあずき　僕でも、大学時代に一度トライしたことがあるんですよ。石油王みたいな人なら気分でお金くれるんじゃないかと思って、Facebookで中東系のそれらしい人たちに「大学生でお金がないので1億円援助してくれないか」っていうメッセージを送りまくったんです。そしたら全員にブロックされて、お金持ちって心狭いんだなって思いました。

ひろゆき　でも仮に、今、やしろさんに見ず知らずの人から「援助してください」ってDMが来たら？

やしろあずき　絶対にあげないですね。うわ、自分も心狭かった（笑）。でも今となっては、僕もひろゆきさんと同じように、もらってめちゃくちゃ嬉しかったものってあまりないかもしれないです。

ひろゆき　欲しいものとか好きなものって、自分で手に入れちゃうからね。それを他人がくれたら嬉しいけど、そうなる前に自分で動いちゃう。

やしろあずき　ADHDは極端な衝動性があるんで、後先考えずにすぐポチっちゃうからな。あ！ 今思い出したけど、最近もらって嬉しかったものありました。トイレの消臭剤です。

ひろゆき　嬉しかったんですか、トイレの消臭剤が。

やしろあずき　以前、家のトイレがぶっ壊れて、うんこが全部出てきちゃったんですよ。くっせーって思ってたんだけど、面倒だから2日くらい見て見ぬフリしてて。で、たまたま友達が家に遊びに来たんですけど、案の定「くさ！」ってなって。そしたら偶然、友達のカバンの中に、1年くらい前に買った消臭スプレーが入ってたんですよ！

ひろゆき　色々突っ込みどころのある話だけど、とりあえずその人はなんでカバンに消臭スプレーを入れてたんですか。

やしろあずき　わかんない。でもそいつもADHDなんで、多分入れたまま忘れてたんだと思います。で、ぐっちゃぐちゃのカバンの中に入ってた消臭スプレーを撒いたらちょっと臭いがマシになって、良かったなぁっていう話です。

ひろゆき　そんなエピソードがあるのに、冒頭で「自分は絶対に臭くない」って言い切れるやしろさんが怖いです。

「人生ってどうでもいい」から生まれる強さ

やしろあずき　次の質問。「今の仕事をしていなかったら、何をしてどんな生活をしていたと思いますか？」

ひろゆき　出社とかがない仕事しかできないから、個人ライターかな。文章書くのが好きなわけじゃないんだけど、早さには自信あるので。喋るのとほぼ変わらない速度で書けると思います。

やしろあずき　あ、わかる。ひろゆきさんって多分、字汚いですよね？

ひろゆき　めちゃくちゃ汚い。

やしろあずき　僕もそうなんですけど、早口の人って字が汚い傾向にあるらしいんですよ。脳内でいろんなことを思いついて、それを出力するのが追いつかないから。だから僕らの字が汚いのは僕らのせいじゃないんです。

ひろゆき　ゆっくり字を書いてる人をみるとまどろっこしくなっちゃう。やしろさんは、漫画家じゃなかったら何をしてましたか？

やしろあずき　なんだろう……動画制作とか、クリエイティブ系ではあると思います。でも、絶対にサラリーマンではない。ゲーム好きが転じてゲーム会社に入ったけど、結局会社勤めが無理すぎたんですよね。ひとつのゲームを作るのに、いろんな人とチームを組んで、莫大な時間とお金をかけて、徹夜してやんなきゃいけない。それがあまりにもハードルが高くて、自分一人でマイペースに何かを作ることの方が向いていることに気付きました。多分チームワークが苦手で、例えば恋愛においても、同棲しても一人の時間は絶対に必要なタイプです。

ひろゆき　僕はどっちでもいいタイプです。一人の時間があってもいいし、誰かがいてもいい。どっちでもいいというか、どうでもいい。

やしろあずき　どうでもいいっていう感覚はすごくわかる。最近、交通系YouTuberのスーツさんが「世の中の全てに全く意味がない」「悟りを開いた」って宣言して話題になってましたけど、僕はすごく共感してて。自分はいつでも“スーツさん側”に行けるなって思って見てましたね。

ひろゆき　僕もわかるなと思ったから、多分そっち側の人間なんでしょうね。今この場で全てが崩壊しても、まあいいか、という感覚がある。どうせ早く死ぬだけでしょっていう。多分そういうスタンスでいるから、逆にこれまでの人生が何とかなってるんだと思います。

やしろあずき　よくSNSとかで叩かれて傷つく人がいるんですけど、僕はいくら炎上しても、あんまりメンタルにダメージ受けないんですよ。自分は自分だし、他人は他人だから。一応社会と折り合いをつけて生きてるけど、いつでも「そっち側に行ける」っていう気持ちでいると、案外気楽に生きられるんじゃないかなぁ。

「やしろあずきの『社会のソトガワ』サバイバルガイド」では、ここではご紹介できないディープなトークも配信中。気になった方は、ぜひチェックしてみてください。