喜怒哀楽を共有できる仲間がいるから続けられた【ハンバート ハンバート インタビュー】

ダ・ヴィンチ 今月号のコンテンツから

公開日:2025/12/31

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年1月号からの転載です。

 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の主題歌『笑ったり転んだり』を歌うハンバート ハンバート。よりドラマに寄り添う楽曲を作るために、佐藤は小泉八雲の妻であるセツが書いた『思い出の記』を読み込んだと話す。

佐藤「『ばけばけ』はこの短い本を芯に作られているので、セツがイメージできるまで繰り返し読んでいきました」

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佐野「セツさんが八雲と生きたのは明治時代ですが、令和に生きる私たちが思っていることも描写されている気がしたんです。だからこそ完成した曲も、自然と今の時代とリンクしました」

 朝ドラの主題歌というと快活な曲のイメージが強いが、この曲は彼ららしい、温かくて優しい仕上がりだ。

佐藤「僕自身、“私たちは派手な曲、元気な曲を作れないので、渋い曲になりますがいいですか?”と聞きました(笑)。そこで制作側からいつも通りでいいと言っていただいたので、安心しました」

 この曲が毎朝日本中に流れているタイミングで、彼らのことを深く知ることができるベストアルバムも発売する。

佐野「ライブで繰り返し演奏している初期の曲から新曲まで、幅広く収録しました。どの曲もレコーディングし直すことなく、当時のまま収録しています。まるで写真のアルバムを開くような作品となりました」

佐藤「音楽って、手直しをし始めるとキリがないんです。いま聴くと変えたくなるところもありますが、それもすべて歴史なので、時系列で収録しました。その違いも楽しんでもらえたら」

 27年間、続けられてきた秘訣とは?

佐藤「1人だったら続いていないと思います。2人なら、どちらかが落ち込んでもどちらかが元気ですし」

佐野「嫌なことも、2人で怒って消化できるんです(笑)。喜怒哀楽を共有できる仲間がいるのは大きな理由です」

取材・文:吉田可奈

はんばーと はんばーと●1998年結成、佐野遊穂と佐藤良成によるデュオ。2人ともがメインボーカルを担当し、フォーク、カントリーなどをルーツにした楽曲と、別れやコンプレックスをテーマにした独自の詞の世界観を持つ。映画『ぼくのお日さま』(2024年)では、佐藤が劇伴も担当。

『ハンバート入門』
『ハンバート入門』ハンバート ハンバート 発売中 SPACE SHOWER MUSIC

初回限定盤(CD+BD)5500円(税込)
通常盤(CD)3300円(税込)
『ばけばけ』の主題歌『笑ったり転んだり』のほかに、2001年の『夜明け』から『おなじ話』『ぼくのお日さま』など、彼らの代表曲や人気曲を網羅した、初のベストアルバム。タイトル通り、入門編にもピッタリだが、これまでのファンも大満足できる仕上がりに。「『ハンバート入門』というタイトルだけつけて、収録曲はスタッフに選んでもらいました。初めて聞く人にはどの曲がいいのか、一番わかっているのは彼らなので」(佐藤)

NEW RELEASE

『AMAZONIA』
『AMAZONIA』ONE N’ONLY 発売中 ユニバーサル ミュージック/Polydor Records

初回限定盤A(CD+BD)4950円(税込)
初回限定盤B(CD+BD)4950円(税込)
通常盤(CD)3300円(税込)
日本だけでなく南米でも大きな人気を集める、俳優業もこなす“ワンエン”のメジャー1stアルバムが完成。オリエンタルでハードなトラックのダンサブルなナンバーから、歌を聴かせるドラマティックな曲など可能性に満ちた一枚。

『Acoustic Album 1』
『Acoustic Album 1』SUPER BEAVER 発売中 Sony Music Records

初回限定盤A(CD+BD)8800円(税込)
初回限定盤B(CD+DVD)8250円(税込)
通常盤(CD)3630円(税込)
バンド初となるアコースティックアルバム。曲に込められた熱く強いメッセージを、シンプルなアレンジで聴くことができるからこそ、より心の奥まで言葉が響いてくる良盤。『人として』『名前を呼ぶよ』などの人気曲の選曲も嬉しい。

『Mirror』
『Mirror』家入レオ 発売中 ビクターエンタテインメント

完全生産限定盤(CD+DVD)4400円(税込)
初回限定盤(CD+DVD)2750円(税込)
通常盤(CD)1650円(税込)
ドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』主題歌として書き下ろされたこの曲は、UNISON SQUARE GARDEN, TenTwentyの斎藤宏介を客演に迎えたナンバー。2人の歌声が時に荒々しく、美しく重なる瞬間は鳥肌もの。

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