真面目で家族に愛される16歳の女子高生…そんな子が妊娠したら?【著者インタビュー】
公開日:2025/12/30

高校生の娘が妊娠…その時、あなただったらどうする?
そんなセンセーショナルなテーマを扱った『娘を妊娠させたのは誰ですか?』(たけみゆき/KADOKAWA)。真面目な夫と優しい娘とともに平穏で幸せな日々を送るさなえ。ある日、高校生の娘・春菜の妊娠が発覚する。相手は一年前から付き合っている彼氏・航太郎だという春菜。幾度か険悪な雰囲気になりながらも、双方の親たちの間では子どもは諦める方向にまとまる。しかしその時ふたりは――。
若年層の妊娠について調べた上で本作を描いたという著者・たけみゆきさん。調べる中で感じたことや、どのように漫画に落とし込んでいったのか制作の裏側を聞いた。
――16歳で妊娠した娘・春菜について、作品を読んでいて、いわゆる“普通の真面目な子”なんだなと感じました。
たけみゆきさん(以下、たけ):そうですね。ごく一般的な家庭ですごく愛されて育った子、真面目で、心に闇のない子にしようと心がけていました。若年層の妊娠というと、家庭に問題があるとか素行が悪いイメージがどうしても付きがちだと思うのですが、そうではない本当に身近で、問題行動のない子が妊娠した場合にどうするかというのを描きたかったので。
――春菜の年齢を16歳にした理由はありますか?
たけ:現実的に彼氏がいて妊娠しなくもない年齢、ということで最初の設定は17歳だったんです。そこから16歳にしたのはよりインパクトがあった方がいいかなと考えました。加えて、物語の終盤で不同意性交等罪がキーワードとして出てくるんですが、16歳未満の場合は同意があってもなくても有罪なのですが、16歳の場合は同意が争点になってくるんです。でも16歳1ヶ月と15歳11ヶ月って何が違うのかという理不尽さも感じて、16歳にしました。
――春菜はすぐに産む決意をしますよね。そこは当初から決めていたんですか?
たけ:産む決断自体はすぐに決まりましたが、その後の展開はずっと最後まで悩みました。春菜本人のキャラクター的にも生真面目なところがあるし、「命を大事にしたいから」と産む決断に至るかなとは思ったんです。でもその後まわりの反応を見てどう思うか、両親の意見を聞いてどうするのか……その後の展開がなかなか決められなくて
――悩んだ理由は?
たけ:読者の方に、「自分だったらどうするか」「自分の子どもが同じ立場になったらどうするか」を考えてもらうために、いろんなパターンを見せたいと思ったからですね。最終的に春菜はある決断をしますが、それも知識がないと選べない選択肢ですから。
取材・文=原智香
