2匹の猫と過ごす、ちょっと不思議で愛おしい日々。季節の移ろいを感じる、癒やしの猫ファンタジー【書評】

マンガ

PR 公開日:2026/1/16

夜が明けるとき猫がそばにいれば
夜が明けるとき猫がそばにいれば(よしのくりこ/スターツ出版)

 冬の寒い日、孤独を感じた時に読んでもらいたいのが、『夜が明けるとき猫がそばにいれば』(よしのくりこ/スターツ出版)。noteで実施された「コミックエッセイ大賞 with OZcomics」で5000作以上の応募の中で大賞に選ばれた本作は、季節の移ろいを感じさせつつ、自分にとって愛おしいものを再確認させてくれます。

【漫画】本作品を試し読み

女性ひとりと兄妹猫ふたりの、ちょっと不思議で穏やかな暮らし

 本作では一人暮らしの女性と、一風変わった兄妹猫ふたりの日常が描かれます。淡いタッチで彩られた世界観は絵本のようで、寝る前に読めば、日常生活で疲れた心を癒やしてくれることでしょう。

 主人公・ふゆこはある日2匹の子猫を連れ帰ります。好奇心旺盛でしっかり者の兄・ヨルと、マイペースでお姫様のような妹・アサ。猫の姿と半分猫で半分子どもの姿を行ったり来たりする不思議な兄妹猫を迎え、ふゆこの新たな生活が幕を開けるのです。

 ヨルは家事が得意で、仕事へ行くふゆこは大助かり。アサも幼げな言動から、大人になったふゆこでは思い付かない体験をさせてくれます。時に子ども、時に猫へと姿を変えるふたりですが、ふゆこが大好きなのはいつでも変わりません。彼女に寄り添うふたりの行動はどれも温かく、読み手の心も洗われます。

七十二候を織り交ぜた物語で、細かな季節の移ろいを感じる

 本作は各話のタイトルに七十二候(しちじゅうにこう)の言葉が添えられ、季節の移ろいが感じられます。七十二候とは、1年を24等分した二十四節気を、さらに3等分して72の候とした季節の目安です。

 約5日ごとに分けられた七十二候は、どれも一瞬の変化を捉えたものばかり。「そらさむくふゆとなる」といった空模様を表したもの、「つばめきたる」「もみじつたきばむ」など、生き物・自然の小さな変化を切り取ったものまでさまざまです。

 七十二候は作中でも織り交ぜられ、季節ごとの景色が色鮮やかに描かれます。作中の季節に思いを馳せるも良し、今の季節へ目を向けるも良し。あなたなりの季節の楽しみ方をみつけてみてはいかがでしょうか?

温かな郷愁から見えてくる、自分にとって愛おしいもの

 兄妹猫と暮らす中でふゆこは、ときに家族のことを思い出します。夜中にたまご酒を作ってくれた父。さくらんぼを分けてくれた母。おいしいココアを淹れてくれた祖父……いずれも、ふゆこにとって大切な人との思い出です。

 現代社会を必死に生きていると時間が過ぎ去り、大切な物事を見失いやすくなります。ふゆこも外に出て、時には涙して帰ってくることもあるのです。だけどヨル・アサと過ごす時間は過去の記憶をふと思い出させ、ふゆこにとって愛おしいものを再確認させてくれます。ふゆことヨル、アサの物語に、自分の家族・パートナーなど、あなたにとって大切なものを重ねて見ると、新たな気付きがあるかもしれません。

 季節によって姿を変える世界で、共に寄り添い喜びを分かち合う、女性ひとりと猫ふたりの物語。不思議な猫たちとの暮らしを見守りつつ、日々の疲れを癒やしてほしい1冊です。

文=ネゴト / なつきみかさ

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