突然、中学を卒業したばかりの長男が家出。理由がわからず悩み苦しむ母親の姿が親子の信頼関係を見直すきっかけをくれる【書評】
公開日:2026/1/14

得てして親は、自分が育てたのだから我が子のことはちゃんと理解しているし、理解し合えてもいると思うものだ。しかし、成長し学校など親の目の届かない世界でも生活するようになると、いつしか親の知らない面を持つようになり、そしてそれを突然見せられると、親は良し悪しにかかわらず面食らってしまう。『15歳の息子が消えた日 不登校・卒業・そして家出』(雪んこの日記:漫画原作、蓬田あんころぴぷぺ:漫画/KADOKAWA)は、中学を卒業した息子が突然、何の相談もなく家を出ていってしまったという実体験をもとに描かれた物語。親子の信頼関係というものについて、あらためて考えさせられる作品だ。
中学1年生の頃は学校が好きでいつも楽しそうに過ごしていた長男は、2年生の秋から不登校になる。両親は息子の変化といえば家での口数がだんだん減っていったことくらいしか思い当たらず、腫れ物を触るように接することしかできなかった。3年生になると、担任の助力もあり登校するようにはなるが、授業中の居眠りやテストの白紙提出と問題行動ばかりし、そして高校進学はしないという意思を示す。それでも学校に行って帰ってきてくれることを母親は喜ぶが、中学卒業後のある日、突然長男は何も言わずに家を出ていくのだった――。
長男が不登校や家出を選択してしまったのは、両親が子どもに非難されることを恐れて「信じて見守る」という言葉に隠れたことと、そんな両親と向き合うことを長男が諦めてしまったからではないだろうか。
子どもを導くことは親が果たすべき最大の役割だ。そして違和感や声なき悲鳴に気づいてあげられるのも親だけだ。ひとりの人間として信じつつも、ときには勇気を持って踏み込むコミュニケーションが親子には必要であると、あらためて教えてくれる作品だ。
文=西改
