自分はかわいいから姉よりも価値があると思い込み、エスカレートしていく妹。容姿至上主義の怪物が辿った震える末路とは?【書評】

マンガ

公開日:2026/2/1

 血のつながりがあるからこそ、憎しみはここまで醜く、深くなるのかもしれない。本作『なんでも横取りする妹が嫌い』(しろみ/KADOKAWA)は、タイトルの通り「なんでも横取りする妹」と「奪われ続けてきた姉」の、執着に満ちた姉妹関係を描いた作品だ。

 物語の中心にいる妹・リカは、幼い頃から容姿を褒められ、周囲にちやほやされて育ってきた。「自分は姉よりかわいく、価値のある存在である」という思い込みは次第に歪み、姉・ユイの持ち物を勝手に盗み、手に入らないものは壊すといった行動へとエスカレートしていく。しかも、それは単なる子どもの意地悪では終わらない。欲しがる対象は物から人になり、ついには姉の恋人へと向けられていく。

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 リカは自分のことを「かわいい被害者」と信じて疑わず、姉の人生を踏み台にすることに何の罪悪感も抱かない。その無自覚ぶりはもはや恐怖の域だ。姉と恋人の間に当然のように割って入ろうとするその言動、平気で境界線を踏み越える狂気が、ホラー作品のような不気味さすら感じさせる。

 物語はやがて大人になった姉妹の関係へと移行する。子どもの頃と変わらず傍若無人なリカは、一度は不倫で痛い目を見たにもかかわらず、結婚した姉の夫にまで手を伸ばし、自分こそが選ばれるはずと信じ込む。しかし現実は彼女の思い通りには進まず……。因果応報と言わざるを得ない結末に注目してほしい。

 そして、この作品のもうひとつのテーマとも言えるのが、容姿至上主義や「かわいい」という価値にすがって生きることの危うさだ。読み進めるほどに心がざわつき目を背けたくなるが、それでもページをめくる手は止まらなくなる。たびたび問題にもなるルッキズムが溢れる現代社会に違和感を持つ人にも手に取ってほしい作品だ。

文=ちゃむ

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