メールを送ってくれるのは彼本人ではない? ミステリーのように展開する40代シングルマザーが落ちた恋の結末は?【書評】
公開日:2026/2/9

結婚後、夫がよくわからない宗教にハマったことで離婚してシングルマザーとなった42歳女性が主人公の『わたしが誰だかわかりましたか?』(やまもとりえ/KADOKAWA)。離婚して自分に残されたのは、仕事と中学生の息子を育てることだけと考える、どこか諦めの気持ちで生きていた彼女が、ある男性に恋愛感情を抱いたことから物語が展開する。
主人公・海野サチはある日、勤め先の後輩男性・魚沼に取引先のパーティーの頭数合わせで参加をお願いされる。その会場でたまたま出会った川上という男性と意気投合し、サチは久しぶりに男性に対してトキメキを覚えるのだった。とはいえ名刺以外に連絡先の交換はせず、ひとときの夢と思っていたのだが、ある日、会社のパソコンに川上名義のアドレスからメールが届いたことでサチは大喜びする。しかしその後はメールのやり取りだけは頻繁にするものの、なんやかんや理由を付けられて直接会うことはおろか、電話で話すことすらもしてくれないため、サチはある疑念を抱くのだった。
作品タイトルになっている問いかけの答えに、サチとともに迫っていく謎解きモノのように進んでいくのが本作の見どころのひとつで、読み始めると最後まで一気に読んでしまうはずだ。加えて、川上と出会う前の仕事と子育てしかないサチのままならない心情や、久しぶりに抱いた恋心に浮かれる姿、そして子どもができず悩むサチの友人・マリナがサチに向けた嫉妬心など、特に同世代や同じような境遇の人ならば大いに共感できるリアリティーも魅力である。
サチとほかの登場人物たちのさまざまな思いが絡み合うこの物語は思いもよらない結末を迎えるのだが、それはぜひご自身の目で確かめてほしい。
文=西改
