数多のマンガ賞を獲得! 読み始めたら途中離脱不可、必ず“推し”に出会えるバトル活劇『極楽街』最新刊【書評】
PR 公開日:2026/2/4

群雄割拠のマンガ界で、いま数多のマンガ賞を続々と獲得して注目を掻っ攫っている作品がある。「ジャンプSQ.」(集英社)で連載中の『極楽街』(佐乃夕斗/集英社)だ。
華やかな賑わいと深い闇が共存する下町「極楽街」を舞台に、問題解決屋(トラブルシューター)を営むタオとアルマが、「禍(マガ)」と呼ばれる怪物の討伐に身を投じていくという、大スケールのバトル活劇である。
様々な魅力を併せ持つ本作の凄みを敢えて一言で表すなら、1秒たりとも、いや一コマたりとも“読者を退屈させないマンガ”という言葉に尽きるのではないか。
まず圧倒されるのは、街そのものの描写密度だ。煌びやかで中華風の街並み、雑踏の熱、登場人物たちが頬張る食事、そこに生きる人々の気配。背景は単なる舞台装置にとどまらず、呼吸を持った生活圏として描かれており、ページをめくるごとに読者を深く没入させていく。
そして、本作を語るうえで欠かせないのがキャラクターの強度である。まず主人公のアルマ。彼を好きにならない読者が果たしているだろうか……。赤毛に鋭い眼差しを持ちながら、どこか少年めいた無垢さも残している実に魅力的な人物だ。「禍」と人間の間に生まれた「半禍の子」という複雑な出自を背負いながらも、その振る舞いはどこまでも素直で、愛らしさと凛々しさを併せ持っている。
彼の上司であるタオもまた最高だ。丸い色つきサングラスに煙草、そして迷いなく拳銃を構えるその姿は、美しさと強さを兼ね備えた文句なしの“つえー女”である。

さらに極楽街の情報屋・辰臣。マイペースで親しみやすい関西弁の兄貴分でありながら、目元を隠した怪しげな姿に思わず目が引かれる。アルマと共に禍と戦う少女・ネイも、凄腕剣士でありながら可憐さも失わない、強さと可愛らしさが同居している魅力的なキャラクターだ。


そしてアルマたちと敵対する「禍」を束ね、人間に害を及ぼす「黄泉」側である、夜。黒毛のウルフカットに長身という佇まいは妖しげな存在感に満ちていて、善悪を超えて否応なく読者の印象に残る。

こうして振り返ると、本作に登場するキャラクターたちは敵味方を問わず一人ひとりが鮮烈だ。きっと誰もが読み進めるなかで推したくなる人物に出会えるだろう。
また物語はテンポよく進みつつも、決して軽薄には流れない。アルマの修業や成長がいきいきと描かれる一方、敵である「禍」も単なる悪として描かれるわけではない。彼らには彼らなりの悲しみがあり、歪みが生まれた背景があり、その奥行きがまた感情を静かに揺さぶってくる。
世界観、キャラクター、ストーリー。そのすべてが強い牽引力を持ち、読者を物語のど真ん中へと連れていく『極楽街』は、巻を追うごとにさらに強く読者を引き込んでいく。いわば“飽きさせなさ”を徹底的に磨き上げたマンガともいえるだろう。その魅力は「次にくるマンガ大賞2023(コミックス部門9位)」「第7回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞(10位)」「全国書店員が選んだおすすめコミック2024(5位)」「次にくるマンガ大賞2025(コミックス部門7位・U-NEXT賞)」など、数々の輝かしい受賞歴が保証している。
作品名は目にしたことがあるが、まだ内容は追えていない――そんな方は最新第6巻が発売されるこのタイミングが絶好の機会。ぜひダ・ヴィンチWebで掲載中の試し読みで第1話をチェックしつつ、『極楽街』への扉をくぐってみてほしい。
文=ちゃんめい
