「今度こそ幸せに」そう願った先にあった地獄。生活費3万円、裏切り・暴言・支配モラハラ男との再婚【書評】

マンガ

公開日:2026/1/28

信じた夫は嘘だらけ 浮気・ワンオペ・DV…地獄の結婚生活を終わらせます』(3cha/KADOKAWA)は、「この人となら今度こそ上手くやっていける」という一縷の希望を抱いて再婚した女性が、“地獄の生活”へ突き落とされていく過程を描いたヒューマンドラマコミックだ。主人公のえりは、元夫の不倫をきっかけに離婚し、シングルマザーとなった女性だ。

 働きながら娘・ひまりを育て、少しずつ平穏を取り戻していた彼女の前に現れたのが、後に再婚することとなるゆうきである。ゆうきは明るく、価値観も合い、ひまりにも優しい。「子どもがいても関係ない。えりとひまりがいればそれでいい」——その言葉に救われ、えりは“今度こそ幸せな家庭が築ける”と信じて再婚を決意する。

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 しかし、結婚生活はえりの期待とは裏腹に、瞬く間に崩れていく。妊娠で体調を崩しても、夫から返ってくるのは労わりではなく暴言。家計管理もゆうきが一方的に握り、渡される生活費はわずか3万円。増え続ける子育て費用に困り果てても、彼は冷たく突き放すばかり。少ない生活費での節約を強いながら、「この金食い虫どもが」などと耳を疑うような暴言まで平然と吐くようになる。

 そして読者を愕然とさせるのは、“節約で浮いたお金”の行き先——元カノとの不倫である。暴言、虚言、金銭支配。かつて優しさを見せていた夫の仮面がはがれ、えりの前に現れたのは典型的なモラハラ・DV加害者の姿だった。

 「優しかった人が、少しずつ支配的な加害者へ変貌していく恐ろしさ」を鋭く描き出す本作。愛してくれたはずの夫が、まるで別人のように変わっていく。その現実を受け止めきれず、「子どもが生まれたら変わってくれるかもしれない」と期待してしまうえりの姿は、多くの被害者が陥る心理そのものだ。果たしてえりは、この悪循環を断ち切り、子どもたちとともに平穏な生活を取り戻せるのか。同じような経験を持つ人の胸に深く刺さるだけでなく、「もし自分だったら」と読み手に問いかける一作だ。

文=ネゴト / すずかん

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