「自由律ジャンケン」登場! “独自手”も使って7番勝負。裏をかき合い、手に汗握る駆け引き…頭脳バトルマンガ『地雷グリコ』第3巻【書評】

マンガ

更新日:2026/1/29

地雷グリコ 3巻
地雷グリコ 3巻(青崎有吾:原作、暁月あきら:作画/白泉社)

 手に汗握る頭脳バトルマンガは、いつの時代も人の心を掴んできた。だが「ルールが複雑で覚えられない」「頭の中で追いかけるのが苦手」という人も多いだろう。かく言う私もそのひとり。駆け引きの緊張感に惹かれながらも、気づけば置いてきぼりを食らい、「今なにが起きているのか分からない」とページを戻すこともしばしばだった。

 しかし『地雷グリコ』(青崎有吾:原作、暁月あきら:作画/白泉社)は、そんな読者を取り残さない。誰もが知る「グリコ」や「じゃんけん」といった子どもの遊びを、駆け引きに満ちたものへと昇華しているのだ。

 原作は、青崎有吾氏が2023年に発表した連作短編。「山本周五郎賞」「日本推理作家協会賞」「本格ミステリ大賞」の文学賞3冠を達成し、2024年上半期の直木賞候補にも名を連ねた話題作だ。作画を手がけるのは『めだかボックス』(集英社)などで知られる暁月あきら氏。作中の濃いキャラクターたちを、くどくならない絶妙なバランスで描いている。

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“駆け引きの主役”となるのは、勝負事にめっぽう強い女子高生・射守矢真兎(いもりや・まと)。同級生であり物語の「語り部」でもある鉱田に頼まれ、真兎は生徒会との出店スペース争奪戦「愚煙試合」に参加する。じゃんけん遊び「グリコ」をベースにした「地雷グリコ」に挑んだ彼女は、その試合を皮切りに、学園内外で行われる奇妙なゲームに次々と身を投じていく。

 最新3巻では、じゃんけんをアレンジした「自由律ジャンケン」編に突入。グー・チョキ・パーに加えて、それぞれの「独自手」を2種類設定するというルールで、7回勝負が繰り広げられる。「独自手」には効果も付与でき、その内容は自由。ただし相手にはどのような効果かは伏せられている。互いに独自手の正体を探りながら戦わなければならない。効果の全容を知るのは審判のみ。このゲームにおいて審判は、ただの進行役ではなく勝負の行方の鍵を握る存在だ。

 真兎の対戦相手は、生徒会長・佐分利錵子(さぶり・にえこ)。男子制服にシルバーアクセを合わせた出で立ちは、イケメンな男子生徒のよう。その姿から想像できる通り、性格も好戦的で自信にあふれている。

 一方の真兎は、日常ではぽわっとした雰囲気のギャル。だが、いざ勝負が始まると表情や言動の一つひとつに含みがあり、何を考えているのかまるで読めない。語り部である鉱田と同じように、読者も息を詰めて対戦の行方を見守ることになる。

 自由律ジャンケンの勝負を見守っているうちに、私も思わず友人と試してみたくなった。誰もが知る遊びを土台にしながら、ルールの穴をつくような戦略や、「そんな手があったのか!」という裏のかき方で相手を翻弄する。正攻法だけでは勝てないプレイが成立してしまうのが『地雷グリコ』のおもしろさだ。

 さらに3巻では、真兎の過去も少しずつ見えはじめる。中学時代の同級生・雨季田絵空(うきた・えそら)と真兎の間には、鉱田も知らない因縁があるらしい。「謝らせたいことがある」と語る真兎。いったい彼女たちに何があったのか……。

『地雷グリコ』最新第3巻は、2026年1月29日発売。読み終わったとき、きっとあなたも誰かにゲームを仕掛けたくなるはずだ。

文=倉本菜生

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