TVアニメ放送中! 明らかになる“切ない恋の記憶”。ルーナとリゼは新たな旅路へ『シャンピニオンの魔女』7巻【書評】
PR 公開日:2026/1/20

マンガアプリ「マンガPark」で好評連載中のファンタジー漫画『シャンピニオンの魔女』(樋口橘/白泉社)の第7巻が発売された。TVアニメ放送中の本作、最新刊の展開がドラマチックで一層面白いので、ぜひ最新刊に追いついてほしい。当書評は7巻の面白さを伝えるため、1~6巻のネタバレを含んでいるので、アニメのみをご覧の方にはご注意いただきたい。
※以下、1~6巻のネタバレを含みます※
触れたり歩いたりしたところから毒きのこが生え、吐く息や皮膚には毒が混じるため、人々からは「シャンピニオン(※フランス語で「きのこ」の意)の魔女」と呼ばれ恐れられている黒魔女のルーナ。人間に直接触れられず、街から離れた黒い森で魔法生物たちと一緒に暮らしている。

そんな彼女の住む森の小川に、ある日突然美しい少年リゼが流れてくる。膨大な呪いの毒を身に纏う彼は、毒の化け物の「成れの果て」になってしまうリスクのある「呪いの子」とされ、黒魔女たちから始末されそうになってしまう。しかし、元々自身も呪いの子であり、今は黒魔女として生きているルーナは、彼のことを救いたいと考える。そして、彼の毒を浄化した上で、魔法使いに育てることを条件に引き取ることとなった。


そんな彼の正体は、かつてルーナの師匠・エルロイが死ぬきっかけとなった、白魔法使いの王の息子、つまりは元王太子であった。
ここに、ルーナとリゼの複雑な関係性がある。
というのも、黒魔女は、その強力な魔法によって世界の危機を救う役割を持っているが、その魔力の強さゆえに理解されがたく、むしろ世界の脅威と恐れられ、時に黒魔女狩りによって殺されてしまうこともある。また、白魔女の恋の力は、黒魔女にとっては魔力を変容させる毒のようなもので、黒魔女は白魔女に恋の力によって魔力を吸い取られてしまうこともある。

そのため、黒魔女と白魔女はずっと敵対する関係で、決して相容れないものなのだ。『シャンピニオンの魔女』の読者たちも、それまでずっと白魔女は黒魔女を迫害するものであり、いわば敵役のような存在として捉えていた。
しかし、前巻である6巻を読み、白魔女への印象が変わった人も多かったのではないだろうか。以前から匂わされていた通り、ルーナの師匠エルロイは、白魔女と恋に落ち、死んでしまった。そのエルロイの恋の始まりがついに明かされたのが前巻だった。

エルロイが恋に落ちた白魔法使いの王は、冷酷と噂されている一方で、エルロイの前ではとても砕けた姿で、チャーミングだ。そして、ストレートに気持ちを伝えてくる。白魔法使いらしい、愛への執着はあるが、だからこそエルロイの固く閉ざしていたはずの心の扉もこじ開けられていく。思っていたよりも、ずっと温かくて、愛情深い存在のように思える。

続く最新刊では、エルロイと王の恋模様が描かれる。切なくも甘いふたりの恋の行方こそが、本作を一段深いところへと導く最大の見どころだ。なぜエルロイは死ぬことになったのか。そして、リゼはどのように生まれ、育ち、あの小川に流れ着いたのか。それまでの過去が明らかになることで、白魔女たちへの印象が大きく変わってくる。

また、今まではルーナのことを慕って、ただ想いを溢れさせていたリゼが、その過去を背負い、魔力を強くしていく中で、少しずつ恋から愛へと気持ちを変化させていく姿も見どころだ。ルーナはそんなリゼの想いを感じ、戸惑いながらも、彼のために“新たな旅路”へと歩み出すことを決める。
新たな道へと進む2人のこれからがどうなるのか、離れずにこれからもずっと一緒に暮らしていく未来はあるのだろうか、読んでいると不安でドキドキしてしまう。
かつてエルロイと王、そして彼らの理解者である王妃が残したリゼという存在は、「もしかしたら白魔女と黒魔女の埋まらない溝の架け橋になるかもしれない」と淡い期待を抱いてしまう。ルーナへの想いに葛藤しながらも、愛を歌い続けるリゼを見ていると、ついそう思ってしまうのだ。とはいえ、2人の行末がどうなるにしても、どうかルーナとリゼが笑顔でいてくれる世界であってほしい。最新刊は改めてそう強く願ってしまう巻だった。
文=園田もなか
