「甘え下手で可愛くない長女」と「愛嬌があってずるい妹」 劣等感や嫉妬によって歪んだ姉妹関係を描いた衝撃作【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2026/1/29

 大切なモノを何でも奪っていく。そんな人間が家族の中にいるとしたら――『世界で一番嫌いな女』(ただっち/KADOKAWA)は、妹と姉の確執を描く衝撃のセミフィクションだ。

 26歳OL・エリは、学生時代から付き合っている彼にプロポーズされ、大きな幸せを感じる一方で、同時に胸の内に拭えない不安を抱えていた。原因は妹のまりあ。幼いころから姉を羨ましがってきたまりあは、事あるごとに姉のモノや人を奪ってきた。妹との関係に辟易していたエリは、できるだけ距離を保ってきたが、彼を連れて実家を訪れたその日、紹介するつもりのなかった妹と鉢合わせてしまい……。

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 怒涛の展開から目が離せないだけでなく、姉から妹、妹から姉という相互の腑に落ちない感情がリアルだと話題沸騰中の本作。こじれすぎた姉妹関係を描き出すこの物語は、どのように生まれたのか。作者のただっちさんに、創作の裏側について伺った。

――姉と妹の確執を描き出す本作。クールでしっかり者の姉・エリと、可愛くて愛嬌のある妹・まりあというキャラクターは、それぞれどのように生まれたのでしょうか。

ただっちさん(以下、ただっち):私自身、2人姉妹の長女であり、かつ、実の姉のように思っている従姉もいるので、妹や従姉と比べられる中で、モヤッとした経験があります。その経験をもとに、クールでしっかり者の姉・エリには、私のように甘えるのが下手で可愛くない部分を入れました。従姉のしっかりした部分も参考にしています。一方で、まりあの可愛らしさと愛嬌のある部分は、私の妹の姿がベースです。まりあは、とにかく無邪気で可愛く見えるように描きました。私が側から見て「うらやましいなぁ、得だなぁ」と感じる女の子そのものにしました。ただ、まりあは姉に劣等感を抱いています。その部分には、私自身の劣等感を反映させています。

――全体を振り返って、一番描くのが大変だったところはどこでしょうか。

ただっち:妹のまりあのキャラには、私が思う「末っ子」の、エリには「長女」の嫌な部分を詰め込みました。ですが、「末っ子」の嫌な部分は、裏を返せば、私が姉として妹を羨ましく感じる部分でもあるので、まりあのほうが自然と女性として魅力的なキャラクターに。逆にエリは、私が自分で感じている「嫌な部分」そのままなので、それを魅力として上手く描けていませんでした。編集さんと話し合って、かなり修正を加えました。

――この作品の中で特に気に入っているセリフと、その理由を教えてください。

ただっち:7話のまりあの「お姉ちゃんはそういう所が可愛くないんだよ」「謙遜ってある意味 相手の好意を台無しにする行為だと思うんだよねーっ」というセリフが気に入っています。このシーンは、私自身が感じる「長女の可愛くなさ」「末っ子のずるさ(羨ましさ)」をギュッと込めています。
私も目上の人に対して遠慮するタイプなのですが、実際はどんどん目上の人に甘えて、欲しいモノをそのままもらって、素直に言葉で喜べる、そんな人のほうが好かれるなぁと感じます。そうなると、謙遜は誰のためのものなのでしょうか。自分を謙虚に見せるため? でも、ちょっと図々しいくらいのほうが好かれるし、実際得している――そんな矛盾を描きました。

――上手く甘えられないという人、まりあに言わせれば「可愛くない」ところがある人は少なくないと思います。そんな人たちにアドバイスはありますか。

ただっち:自分のパーソナリティと違うことをしても、チグハグになったり、無理をして疲れてしまったりするだけです。「可愛くない」部分も愛してくれる人を探して、大切にするのが一番幸せかも……と最近感じています。

取材・文=アサトーミナミ

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