誕生日でもないのに、自分だけプレゼントを買ってもらう妹。子どもの頃に、理不尽に感じた経験・感情を詰め込んだ【著者インタビュー】
公開日:2026/1/30

大切なモノを何でも奪っていく。そんな人間が家族の中にいるとしたら――『世界で一番嫌いな女』(ただっち/KADOKAWA)は、妹と姉の確執を描く衝撃のセミフィクションだ。
26歳OL・エリは、学生時代から付き合っている彼にプロポーズされ、大きな幸せを感じる一方で、同時に胸の内に拭えない不安を抱えていた。原因は妹のまりあ。幼いころから姉を羨ましがってきたまりあは、事あるごとに姉のモノや人を奪ってきた。妹との関係に辟易していたエリは、できるだけ距離を保ってきたが、彼を連れて実家を訪れたその日、紹介するつもりのなかった妹と鉢合わせてしまい……。
怒涛の展開から目が離せないだけでなく、姉から妹、妹から姉という相互の腑に落ちない感情がリアルだと話題沸騰中の本作。こじれすぎた姉妹関係を描き出すこの物語は、どのように生まれたのか。作者のただっちさんに、創作の裏側について伺った。
――姉と妹の確執を描き出す本作。ただっちさんは2人姉妹の長女で、さらに実の姉のように思っている従姉がいるそうですが、ご自身の経験も反映されているのでしょうか。
ただっちさん(以下、ただっち):はい、とにかく実際に感じたモヤモヤや心情を、できるだけリアルに描くことを意識しました。昔のことを思い出すために、忘れていた嫌な記憶もたくさん掘り返して……。その時の感情をキャラクターの表情に込められるよう、何度も描き直しました。
――作品のどのような部分にご自身の経験が反映されていますか。
ただっち:私と従姉の知能の差が大きすぎたせいもあるのですが、家族や親族にいつも自分だけ「頼りない」と思われているように感じていました。何ひとつ勝てるものがなく、自分はただの引き立て役。今思えば、同年代の中では極端に劣っていたわけではなかったはずなんですが、当時は「何をしても自分はダメ」だと思っていたし、進路についても誰にも期待されていないように感じるのが、とても悲しかったです。従姉は進学校へ行き、私は何の意見も聞かれないまま「当然地元の簡単な公立に行くよね」という雰囲気で……。
従姉がいてもいなくても結果は同じだったかもしれませんが、いたからこそ差がはっきり見えて、その分、私の劣等感が強くなりました。この作品では、そんな劣等感を妹・まりあにギュッと埋め込みました。
――「特にこの場面に経験が反映されている」という箇所があれば教えてください。
ただっち:従姉への劣等感はまりあに、妹への劣等感はエリに詰め込んでいます。特にそのまま反映したのは、親戚の中でまりあだけが「可愛い可愛い」と褒められているシーンや、まりあだけ誕生日でもないのにごねてプレゼントを買ってもらったシーンです。子どもの頃、理不尽に感じた経験、感情をそのまま描いています。
取材・文=アサトーミナミ
