「お姉ちゃんをやめたかった」姉が感じた理不尽と、今も残る妹への羨ましさ【著者インタビュー】
公開日:2026/1/31

大切なモノを何でも奪っていく。そんな人間が家族の中にいるとしたら――『世界で一番嫌いな女』(ただっち/KADOKAWA)は、妹と姉の確執を描く衝撃のセミフィクションだ。
26歳OL・エリは、学生時代から付き合っている彼にプロポーズされ、大きな幸せを感じる一方で、同時に胸の内に拭えない不安を抱えていた。原因は妹のまりあ。幼いころから姉を羨ましがってきたまりあは、事あるごとに姉のモノや人を奪ってきた。妹との関係に辟易していたエリは、できるだけ距離を保ってきたが、彼を連れて実家を訪れたその日、紹介するつもりのなかった妹と鉢合わせてしまい……。
怒涛の展開から目が離せないだけでなく、姉から妹、妹から姉という相互の腑に落ちない感情がリアルだと話題沸騰中の本作。こじれすぎた姉妹関係を描き出すこの物語は、どのように生まれたのか。作者のただっちさんに、創作の裏側について伺った。
――姉と妹の確執を描き出す本作では、しっかり者の姉・エリの葛藤に胸が締め付けられる思いがします。幼少期のエピソードや、「いつもお姉ちゃんをやめたくて仕方なかった」というモノローグには、思わず共感してしまう人も少なくないのではないでしょうか。ただっちさんも2人姉妹の長女とのことですが、姉として幼少期に腑に落ちない感情を抱いた経験はありますか。
ただっちさん(以下、ただっち):はい。たとえば、すごく小さいことなんですが、お菓子を選ぶときに「ジャンケンで勝った人から選ぶ」ってルールにしていたんです。でも私が勝つと、「いつもお姉ちゃんが勝つ」と妹が泣いてしまって、結局、妹が欲しいものを譲る形になる。それがすごく理不尽だなと思っていました。「じゃあ、私が泣き喚いたらどうするの?」って思うんですけど、自分には自分で「しっかりした姉」でいたいプライドもあって、そんなことはできなくて……。妹が生まれる前たっぷり甘やかしてもらえていた時期を思い出して、しょんぼりしていました。
――大人になってからは姉妹間でモヤモヤした思いを感じることはありますか。
ただっち:お互い結婚してからは会う機会が減って、日常的なモヤモヤもなくなりました。でも、実家に帰ったとき、母と妹が声を荒らげて喧嘩しているのを見て、「そんなに言い合う必要ある?」と思う反面、羨ましいなとも感じたんです。甘えられるということは、それだけ本音を出せるということでもあるので……。私はそれができません。恥ずかしいのでしたくないという気持ちもあるんですが、羨ましさも確かにあって。その感情って、幼少期に感じた姉妹間のモヤモヤとどこか共通しているのかも、と思いました。
――この作品を読むとつい気になってしまうのですが……ただっちさんご自身は、今、良好な姉妹関係なのでしょうか。
ただっち:時々メッセージも送り合うし、会ったら話すし、とても良好だと思います。仲が悪かったわけではなく、私の心の中で完結していたモヤモヤを漫画の種にしただけなので……!
取材・文=アサトーミナミ
