「負け組決定ね」姉に憧れていた妹が、姉のモノを奪い出した理由。こじれた姉妹関係の未来は――【著者インタビュー】
公開日:2026/2/2

大切なモノを何でも奪っていく。そんな人間が家族の中にいるとしたら――『世界で一番嫌いな女』(ただっち/KADOKAWA)は、妹と姉の確執を描く衝撃のセミフィクションだ。
26歳OL・エリは、学生時代から付き合っている彼にプロポーズされ、大きな幸せを感じる一方で、同時に胸の内に拭えない不安を抱えていた。原因は妹のまりあ。幼いころから姉を羨ましがってきたまりあは、事あるごとに姉のモノや人を奪ってきた。妹との関係に辟易していたエリは、できるだけ距離を保ってきたが、彼を連れて実家を訪れたその日、紹介するつもりのなかった妹と鉢合わせてしまい……。
怒涛の展開から目が離せないだけでなく、姉から妹、妹から姉という相互の腑に落ちない感情がリアルだと話題沸騰中の本作。こじれすぎた姉妹関係を描き出すこの物語は、どのように生まれたのか。作者のただっちさんに、創作の裏側について伺った。
――本作では、姉・エリの視点で妹へのモヤモヤを描きつつ、妹・まりあが姉に抱く感情も丁寧に描かれています。姉のモノを奪うまりあは、姉に強い羨みを抱いているようにも見えますが、その苦しさをただっちさんはどう捉えていますか。
ただっちさん(以下、ただっち):まりあは、姉に憧れていて「姉みたいになりたい」と思っていました。でもその姉から「愛嬌がある子はいいよね。人生他人にこびるだけで、イージーモードだよね。私はそんな人生嫌だけど」と言われてしまう。そのショックがなければ、羨みが黒くてドロドロしたものにはならなかったはずです。
――まりあの暗い感情は増大していきます。姉の結婚の話を同僚にしたとき、まりあは「このままだと負け組決定ね」と言われてしまい……。この時、まりあの心にはどのような感情が渦巻いていたのでしょうか。
ただっち:元々まりあは、姉の婚約者のことなど、特に羨ましいと思っていませんでした。「自分のほうがいい男と結婚できる」と思っていたんです。それなのに同僚に現実を突きつけられて、「どうにかしないと」と焦り始める。姉の婚約者と顔を合わせた時点でも、まりあは「お姉ちゃんより上」だと思い込んでいたため、その分、衝撃が大きかったんだと思います。
――焦るまりあは暴走し、どんどん姉の婚約者に接近していきます。この本を読み終えた時、あまりの衝撃に「この姉妹はこの後どうなってしまうのだろう」と、物語の続きが気になってしまいました。今後、まりあとエリの姉妹関係はどうなっていくと思いますか。
ただっち:まりあがシングルマザーになり、実家に帰ってきて、親もまた甘やかして、なんだかんだゴタゴタする未来が見えます。2人の子育てが終わった頃に、やっとわかり合えるかもしれませんね……。
取材・文=アサトーミナミ
