「丁寧な言葉づかい」がカギ。サレ妻が惹かれる紳士的な優男の魅力とは【著者インタビュー】
公開日:2026/2/2

数多くあるサレ妻作品のなかでも、サレ妻×異世界という組み合わせがユニークな漫画『異世界転生したサレ妻ですがクズ夫を捨てて幸せを掴むことにしました』(綾束乙:原作、酒井美羽:漫画/KADOKAWA)。作画を手がけたのは、『酒井美羽の少女まんが戦記』(酒井美羽/秋田書店)でも話題の恋愛漫画の名手・酒井美羽先生だ。
物語は、ヒロインが転生した先の世界でもクズ夫と夫婦になって虐げられてしまう、という過酷な設定。そんな彼女の前に現れたのは、夫とは対照的にやさしく紳士的な青年魔術師エルヴァンだった。エルヴァンから魔術指導とともに愛情をうけ、クズ夫と対決するヒロインだったが…。
先が気になる展開に美麗かつ胸キュンな演出が加わり、サレ妻作品好きにも少女漫画好きにも注目される本作。苦難の末に自立して幸せになるヒロインを描ききった酒井先生に、作画や演出に込めた想いやこだわりを伺った。
——ヒロインはもちろん、青年魔術師のエルヴァンの衣装も素敵です。最近ハマっていらっしゃるK-POPカルチャーを参考にしているそうですね。
酒井美羽先生(以下、酒井):エルヴァンは白髪の王子様のイメージがあったんですが、キャラクターを描いたら黒髪にしようという意見が出て。黒髪だったら黒いチョーカーにして鎖もたくさんつけちゃおうと。だんだんノってきて、いろいろつけました。
イケメンはチョーカーが似合うので、首輪やチョーカーはマストです。エルヴァンが太ももに巻いているベルトには剣をつけましたが、K-POPの衣装でよくつけている太もものベルトはおそらく機能的な意味はあまりないのでは。そこがいいですね。
——ヒロイン・ルミナエに愛を伝えるエルヴァンの作画を手がけるにあたって、原作からはどのような部分をヒントにしましたか?
酒井美羽先生(以下、酒井):言葉づかいの美しさですね。彼はとにかく丁寧なんですよ。最初はちょっと堅苦しいかなと思ったけれど、砕けさせてみたら彼の良さがなくなってしまったので、丁寧な口調に戻しました。
要するに、この言葉がルミナエに対する尊敬や思いやりを象徴しているんですよね。だから言葉づかいは原作ほぼそのままです。言葉づかいって相手に対する気持ちがすごく表れるので、後半で作ったオリジナルの展開でも丁寧な言葉づかいにしました。丁寧な口調だと、高級感もただよいませんか?
——高級、という表現がまさにぴったりですね。エルヴァンはルックスがいい上にやさしくて、本当に好印象な男性です。
酒井:やさしいけれど、本来は強いんでしょうね。反面、亡くなったお姉さんに対するシスコンっぽい感情も見えるので、どこか弱さも感じる。強さと弱さの両方あるのがエルヴァンの魅力かなと。
変なプライドがなく、本当の意味で強くてやさしい。DV夫との対比もいいと思います。
——おっしゃる通り、本当は強いけれど、強さを全面に出すタイプではないですね。
酒井:ヒロインのルミナエを守っているというより、後ろで支えている感じ。プライドが強い男性だと、強い女性を前にすると「自分はいらないんじゃないか」と卑屈になって引いちゃいそうですが、本当の意味で強い人は、女性が強くても引かないのかなと思いました。控えめで、でしゃばらないのが、ヒーローとしていい感じです。
取材・文=吉田あき
