東村アキコ・二ノ宮知子・魔夜峰央……やっぱり面白い! 大御所漫画家が描く育児漫画3選
公開日:2022/10/16

InstagramなどSNSの普及によって、多くの人の作品が読めるようになった育児エッセイ漫画。特に自分の子どもと歳が近かったり、性別が同じだったり、共通点があると「そうそう!」と共感しながら読む方も多いはず。そしてどの子どものおバカな言動も、メルヘンな行動もやっぱりかわいい! 普段見れないような、その家庭の飾らない日常が垣間見られるのが魅力の育児エッセイ漫画ですが、中には大御所漫画家たちが自身の子育て経験を漫画にしたものも。本稿ではそんな「やっぱり大御所はすごい!」と唸らされる漫画を3つ紹介します。
『親バカ日誌』(魔夜峰央/白泉社)
『パタリロ!』の作者、魔夜峰央さんの育児漫画『親バカ日誌』は、パパの視点から子どもを観察した一冊。長女・マリエさんと長男・マヤくん。そして魔夜さんの愛する奥様と4人の日々が、タイトル通り親バカ(&超愛妻家)の視点で綴られます。特にマリエさんのことは溺愛しており、まだマリエさんが小学生の頃から娘が結婚する未来を想像して悲しくなってしまうパパっぷりが微笑ましい。そしてマヤくんと魔夜さんの男同士だからこその言葉いらずなコミュニケーションも我が家の夫と息子そっくり! 未就学児が主人公であることが多い育児漫画の中で、ふたりが小学生くらいのエピソードがメインというのも珍しいところ。大人と対等に会話できるようになっても、まだまだかわいいふたりのしぐさにほっこりさせられます。紹介する3作品の中では一番古い漫画になりますが、時代を感じさせない名作です。
『ママはテンパリスト』(東村アキコ/集英社)
『海月姫』『東京タラレバ娘』など多くのヒット作をもつ漫画家・東村アキコさんの育児漫画、『ママはテンパリスト』(東村アキコ/集英社)。息子・ごっちゃんの妊娠出産から、本人が小学校にあがるまでの日常が描かれています。東村さんの漫画はどの作品でもギャグ要素満載。悩みや不安を登場人物たちが力強いパワーで吹き飛ばしていくのが作品の魅力ですが、本作にもそれは健在です。トイレトレーニング、卒乳など子育てにはつきものの悩みも、真剣に取り組んでいるからこそなぜか面白いふたりのやりとりを見ていると、ちょっと気が楽になってきます。シングルマザーで売れっ子漫画家という常にギリギリ綱渡りの状況を赤裸々に、そしてここまでユーモラスに描けるのは東村アキコだからこそ。もはや育児漫画のみならず、ギャグ漫画としてもトップクラスの本作です。
『おにぎり通信』(二ノ宮知子/集英社)
『のだめカンタービレ』などで有名な二ノ宮知子さんの家庭にはふたりの男の子が。主に家事育児を担当するのはパパで、ママは多忙な仕事を言い訳に朝は起きてこず、うんちのおむつもパパに丸投げ。長男とたまに遊ぼうとすると「パパがいい!」と泣かれてしまうという一昔前のダメな父親のような有様です。『おにぎり通信』(二ノ宮知子/集英社)で描かれる、そんな二ノ宮家のエピソードには、疲れを癒しに行ったはずの温泉旅館で子どもが暴れ回ってまったく息抜きできなかったり、お出かけの荷物が少なくなっていくことに子どもの成長を感じたりと「わかる!!」と共感できるものが盛りだくさん。ダメママエピソードに「私にも似たところあるなあ」と共感しつつも「でもうちの方がちょっとマシ!」と思わせてくれる絶妙な塩梅は、さすが“のだめ”の作者さんです。
子どものいない人には子育ての予習に。すでに子どもが大きくなった人には当時を懐かしむために。大御所たちの育児漫画はあらゆる世代が楽しめる作品です。
文=原智香
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