今日は2月22日「猫の日」! 楽しくて心温まる日常、そして別れ…読めばさらに愛情が深まる猫コミックエッセイ3選

マンガ

公開日:2023/2/22

15年一緒にいた愛猫ががんに…別れの先で辿り着いた悲しみの受け入れ方とは

世界一幸せな飼い主にしてくれた猫
世界一幸せな飼い主にしてくれた猫』(ねこゆうこ/KADOKAWA)

 これまでの暮らしが幸せだった分、愛猫との別れを想像すると怖くなる――。そう思うようになった方に手に取ってほしいのが、ブログ月間PV数12万を達成した『世界一幸せな飼い主にしてくれた猫』(ねこゆうこ/KADOKAWA)。

 本作は愛猫・ちゃーにゃんとの最期の日々と、その後の日常を描いた号泣必至のコミックエッセイだ。

 猫のちゃーにゃんは、世界一かわいい大切な家族。ねこゆうこさん夫婦はこれからもずっと、ちゃーにゃんを愛で、翻弄させられる日々が続いていくのだと思っていた。

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 ところが、15歳になったちゃーにゃんは食欲が減退。口の中に大きな口内炎のようなものもできた。

世界一幸せな飼い主にしてくれた猫

 そこで病院へ行くと、がんであることが判明。専門病院を紹介され、様々な治療法があることを告げられるも夫婦は困惑。長くて3カ月という余命宣告も、心に刺さった。

世界一幸せな飼い主にしてくれた猫

「あなたはどうしたい?」と聞けないもどかしさを抱えながら、夫婦はちゃーにゃんにとって最善の選択になるよう試行錯誤。下顎の切除や胃ろう(腹部に小さな穴をあけ、チューブで直接食べ物を入れる方法)といった治療は受けず、ありのままの姿で最期まで生きさせてあげようと決意する。

 やがて口腔内の腫瘍は大きくなり、やわらかくした缶詰を食べることも困難に。夫婦は奇跡が起きることを望みながら、できるかぎり愛猫がストレスなく日々を過ごせるよう、サポートを行った。

世界一幸せな飼い主にしてくれた猫

世界一幸せな飼い主にしてくれた猫

 病院受診から49日目。ちゃーにゃんはふたりに見守られながら、逝去。夫婦は深い悲しみに暮れ、初めて愛猫を亡くしたねこゆうこさんは自宅に猫がいないという現実をなかなか受け止められない。

世界一幸せな飼い主にしてくれた猫

世界一幸せな飼い主にしてくれた猫

世界一幸せな飼い主にしてくれた猫

 心に開いた“猫型の穴”を埋めようと里親募集サイトを見るも、ちゃーにゃんと同じ毛色の子ばかりに目が行き、無意識に迎える猫を選別している自分に気づいて自己嫌悪。大きな悲しみを経験した夫婦が辿り着いた、苦しみの乗り越え方とは――。

 本作には看取りだけでなく、大好きな家族を亡くした“その先”まで描かれているため、似た苦しみの中にいる人に深く刺さる。また、行ったサポート法も細かく描かれているので、現在、がんを患う愛猫と暮らしている方にとって心強い味方にもなってくれるだろう。

 飼い主にとって、うちの子は世界一。だからこそ、日常の中に溶け込んでいてくれた“あの子”がいなくなってしまうと、絶望に近い感情がこみ上げてくる。だが、肉体はなくとも心はずっとそばにいてくれるはず。そんな優しさが、猫にはあると思う。

 共に過ごせる今、自分は愛猫にどんな幸せをあげられるだろう――。本作は、そう自問自答したくもなる愛猫物語だ。

 自分を信頼してくれる猫が自宅にいることは当たり前ではなく、尊いこと。自分よりも体の大きな人間に心を許し、甘え、時には突拍子もない行動で笑わせてもくれる猫という動物は言葉では表せないほど愛おしい。そんな彼らに「大好き」と伝えながら、猫愛がたっぷり詰まったコミックエッセイを読んでみてほしい。

文=古川諭香