【愛猫に実践してみた】ストレスケアや不調解消も期待できる! 獣医師が教える猫のためのツボマッサージとストレッチ
更新日:2023/5/13

たくさんの癒しや笑顔をくれている愛猫に、もっとリラックスして過ごしてほしいと思っている猫飼いさんは多いだろう。そんな人におすすめしたいのが、日常のスキンシップ時に取り入れられるマッサージを紹介した『ねこほぐし 猫を整えるマッサージ&ストレッチ』(中桐由貴/産業編集センター)だ。
著者は、獣医師で鍼灸師でもあるアニマルケアサロン「FLORA」の院長・中桐由貴氏。「病気になってから治療する」という概念にとらわれず、普段の食生活や心のストレスケアなど、さまざまな面から動物の健康寿命を延ばしていきたいと考えているという。
本書は、まさにそんな著者の想いが反映された一冊だ。猫カゼやストレス、肥満解消に効果が期待できるマッサージやストレッチ方法を写真で解説。愛猫の心身をケアしたい時に頼れる実用書となっている。
実際にやってみた! トラブル解消効果も期待できる“猫用マッサージ”
マッサージをする上で大切なのは、愛猫が気乗りしない時は控えること。自宅で行う時には、3つの注意点を守ろう。
①出血や外傷が見られる子や痛みが強い場所はNG
②妊娠中や体力が落ちている時は「撫でる」や「さする」などの優しいマッサージにする
③持病があり、病院へ通院している子は必ず獣医師に確認してから行う
初めて行う場合、おすすめなのが「目と額のマッサージ」。顔まわりは触らせてくれやすく、目や鼻のトラブル解消なども期待できるそう。
5ステップでできる「目と額のマッサージ」
①目頭から目尻をゆっくり撫で、初めと終わりの部分に圧をかける
②頬をつまんで揉む
③目の下から耳手前までをゆっくり撫でる
④鼻上から頭までさする
⑤額から頭頂部あたりを指先でこちょこちょ


各ステップは、3~5回ずつ行うのがよいという。どのステップも、最初と最後は少し圧をかけ、ツボを刺激するのがポイントだ。
実際、我が家の愛猫にもやってみたところ、特に頬をつまむステップがお気に召したよう。目を細めて気持ちよさそうな顔をし、喉を鳴らしてくれた。

そこで、次は下痢や便秘の改善、元気を出すといった効能がある「尻尾のマッサージ」にチャレンジ。
3ステップでできる尻尾のマッサージ
①「尻尾の根元から軽く握ってゆるめる」を繰り返しながら、毛の流れに沿って先端へ
②尻尾の先端をつまむ
③尻尾の皮膚をつまむ。この時は根元あたりの毛にベタつきや皮膚の赤みがないか確認

尻尾は敏感で刺激に慣れていないことが多いため、弱い力からマッサージしていく。実際、愛猫に行ってみたところ、最初は少し警戒した様子だったが、尻尾を引っ張らないように気を付けて行っていると、次第にリラックスしてくれ、マッサージ中の猫が他猫をケアするという癒し度満点な光景が見られた。

祖先が砂漠のような環境で生きていたことから、猫は飲水量が少なく、排便のトラブルを抱えることが多い。手軽にできる尻尾マッサージは排便ケアのひとつになるため、知識として頭に入れておきたいものだ。
本書には他にも肉球や耳、腰などさまざまな部位を労れる優しいマッサージがたくさん。目ヤニの量が多い時や免疫力を整える効果が期待できるものもある。

著者はマッサージ前のウォームアップも詳しく解説しているので、そちらもチェックし、リラックスした状態で愛猫にマッサージを受けてもらおう。
あんまり動かない猫におすすめ! 筋肉をほぐす猫用ストレッチ
本書には、運動量の少ない猫さんが筋肉をほぐせるストレッチ法も掲載。抱っこができる子と苦手な子、それぞれに適したストレッチが紹介されていて、ありがたい。
例えば、「股関節+膝ストレッチ」は、より高くジャンプをしたり、走ったりしやすくなる効能が期待できる。抱っこが苦手な子は、横になっている時に行おう。
4ステップでできる「股関節+膝ストレッチ」
①膝を伸ばした状態で、太ももを尻尾の方向へ伸ばす
②膝を手のひらでつつみ、大腿と下腿を一緒に持って曲げる
③股関節、膝関節を曲げた状態をキープしながら、外側と内側に揺らす(両足とも)
④楽な姿勢で足の付け根に手を添え、足先を持ってゆっくり前後左右に揺らす

このマッサージは、各3~5回行うのがおすすめ。伸ばしたり曲げたりするステップでは5~10秒ほどキープできると効果的なのだとか。
なお、伸ばす時は特にゆっくり行い、愛猫が嫌がったり動こうとしたりした時は脱臼などの怪我を防ぐため、すぐに足から手を離し、胴体を持つことが大切なのだそう。
猫の心身に効く、ツボマッサージとストレッチ。健康管理のひとつとして普段のケアにプラスしてみてはいかがだろうか。
文=古川諭香