売り言葉に買い言葉で始まった恋。業平は高子だけにわかる言葉で思い出を和歌に詠み込む/超訳百人一首 うた恋い。③
公開日:2023/5/20





ていかメモ
こんにちは、定家です。このコーナーでは僕が平安マメ知識を皆に教えるよ!
今回は業平と色好みについて解説しよう。
【色好み】
在原業平といえば『伊勢物語』の主人公のモデルとして有名。『伊勢物語』に、ぴんと来ない人もいるかな? まあ、業平の恋愛武勇伝みたいなものだよ。いろんな女性と恋歌を交わして、恋の噂が絶えないイケメン。それが『伊勢物語』で語られる業平像だ。
でも業平はそんじょそこらのプレイボーイとは一味違う。すごく奔放で、大胆なんだ。高子と駆け落ちを企てたり、時の斎宮様と密通したり、かなり危なっかしい恋もしている。ひとつひとつの恋にその身をかけるような情熱が、業平にはあった。そういうところがモテたのかもね。
業平のような人物を、俗に「色好み」という。ようするに女ったらしのことなんだけど、この時代はそれがひとつの文化だった。テレビもマンガもない時代だからね。娯楽って限られていたし、今に比べるとモラルも感覚も違っていたから、恋愛や色事が遊びとして、文化として花開いていた。恋愛は風流なもの。美しい恋歌が詠めて、異性の心を掴んで情熱的な恋愛に身を砕く姿は、とてもオシャレと考えられていたんだ。
<第4回に続く>