残業は押しつけ手柄は横取りする白雪姫⁉ 7人の男を従える超自己中あざと女の転落と復讐

マンガ

公開日:2023/6/11

みんな私のこと「かわいい」って言ってくれるけど本命にはしてくれないね?
みんな私のこと「かわいい」って言ってくれるけど本命にはしてくれないね?』(むぎ/DPNブックス)

 とんでもないヒロインが現れました。

 その名も白雪愛莉。その名字と可愛さにちなんで、ついたあだ名は「白雪姫」。7人の小人ならぬ、7人の男性社員たちが彼女の社内生活を支えており、その日常はまさに姫そのもの。

 しかし、決して「羨ましいなぁ」とは思いません。なぜなら彼女は稀に見る、残念なお姫様だからです。タイトルがその残念さを物語っていると思います。

みんな私のこと「かわいい」って言ってくれるけど本命にはしてくれないね?』(むぎ)

 アプリで読める縦スクロール漫画です。

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 そもそも愛莉は、男性人気はとんでもなく高いのですが、一方で同性からはまったく好かれていません。仕事の手柄を平気で横取りし、地味な女にはマウンティング。残業を人に押し付け自分は定時で帰宅……などなど、いわゆる男の前だけいい顔をする二重人格なわけです。そのため女性からは陰で「あざと姫」と呼ばれて疎まれています。

 しかし愛莉からしてみれば、女性に好かれるよりも男性からチヤホヤされたほうが何倍もメリットがあると考えるので、陰口も気にならない。

「私がかわいくて上手く立ち回っているから優遇されたり言うことを信じてもらえるんだよね これも全部私の能力のうち」
「ブスの嫉妬見苦しいなぁ! 悔しかったら私くらいかわいくなればぁ?」

 腹が立ちますよね。こんな人が同僚にいたらと思うとゾッとしますね。

 しかしある合コンをきっかけに、愛莉の歯車は少しずつ狂っていくのです。

一人、また一人と去っていく愛莉の小人たち…

 勝手に参加した合コンで、一番のイケメンにロックオンした愛莉。いい女アピールをしようと安いファミレスをディスりまくります。ところがじつはそのイケメン、ファミレスを経営する会社の御曹司だったのです。

「勘違いして自分の価格設定だけが高い女」と、あっさりフラレてしまいます。

 この事件のあとから加速度的に転落していく愛莉。7人の小人(男性社員)たちも一人、また一人と去っていき、ようやく彼女はある事実に気づくのです。

「私皆のことキープ扱いしてたけど もしかして皆も私のことをキープだと思ってた…?」

 イエーイ! ついにあざと姫の心が折れたぞ―! ……ってなると思うじゃないですか? 不思議なことに、なぜか愛莉を嫌いになれない自分がいます。たしかに性格のひん曲がった女ですが、やることなすこと空回りする姿は別の意味で可愛い。

 そして人生ずっとモテてきたはずなのに、男を見る目がまったくないのも愛莉の魅力。二股かけられるわ、知らない間に不倫相手になってるわ、散々な目に遭います。

 そんな男、さっさと離れてしまえばいいのに周りの女たちから見下されることに耐えられず、どんどんドツボにハマっていく愛莉。計算高いけどとことん不器用で、むしろこっちの面を見せたらもっとモテると思うのですが、そんなの愛莉のプライドが許しませんので。

 見下していた男たちにいいように使われる愛莉ですが、やられっぱなしでは終わりません。不倫男には、精一杯の方法で復讐します。復讐もコソコソするのではなく、表立って堂々とするのが愛莉のいいところ。自分のプライドを守るためなら、平気でプライドを捨てられる女って格好いいですよね。

 最新刊6巻では、愛莉は会社経営者の超リッチマン・伊龍と付き合うことに。高額アクセサリーやハイブランドの服を貢がれまくり、いよいよハッピーエンドか!? と思ったものの、早くも暗雲が……愛莉の恋の行方が気になります。

 また、第一話から登場している同僚の小川さんにも注目。ほかの女性陣が愛莉を避けるなかで、唯一助言してくれるめちゃくちゃ性格の良い女性です。ほんの一瞬ですが、愛莉が小川さんに対して「これが友達……?」と思うシーンも。小川さんと接するうちに、愛莉も少しずつ変化しているみたいですね。

 愛莉には頑張ってほしいけど、だからといって調子に乗ってほしくもない。読者の気持ちも複雑にさせる愛莉の物語、最新7巻は先行配信中なのでぜひチェックしてみてくださいね。

文=中村未来